骨折による合併症と後遺症の危険性!

骨折後遺症

たかが骨折!されど骨折です!

骨折によっては、合併症等で重症化することがあります。処置が悪ければ、命を落とすことさえあります。そんな「骨折の合併症」は3つに分類されます。

また「骨折の後遺症」で苦しまないためにも、医者任せにしないで、注意事項をしっかり確認しておきましょう!

 

骨折の併発症(へいはつしょう)

骨折の併発症とは、骨折と同時に起こった損傷、または骨折したことで起る合併症状です。

関節の損傷 

関節を構成する組織の損傷です。靭帯・関節軟骨・関節包・関節唇・滑液包に起こる損傷のことです。脱臼が伴えば「脱臼骨折」で、関節面に骨折をすれば「関節内骨折」で後遺症になりやすい骨折です。

靭帯や腱などの損傷

折れた骨によって、筋、腱、皮膚などが損傷する合併症のことです。治癒期間やリハビリに大きな影響を及ぼします。また折れた骨が外に飛び出る開放性骨折(複雑骨折)は、細菌感染の恐れがあります。

内臓損傷 

折れた骨によって、内臓を傷つけるのが「内臓損傷」という合併症です。鎖骨で肺を損傷、肋骨で肺・脾臓・腎臓損傷などを損傷、骨盤では尿道・膀胱・直腸壁などを損傷する恐れがあります。

脳脊髄損傷

折れた骨によって、脳や脊髄を損傷するのが「脳脊髄損傷」という合併症です。頭蓋の骨折は脳損傷、脊椎の骨折は脊髄損傷を注意してください。治療経過中に起こることもあります。

血管損傷

折れた骨によって、血管を損傷するのが「血管損傷」です。損傷は血管の圧迫、挫滅、断裂などですが、気付かないこともあります。四肢末梢の循環障害、骨片の無腐性壊死を起こすことがあります。

末梢神経損傷

折れた骨によって、末梢神経を傷つけるのが「末梢神経損傷」です。前腕の橈骨(とうこつ)や尺骨(しゃっこつ)の骨折で正中神経の損傷、下腿骨で腓骨神経の損傷などで、鈍痛や麻痺を起こします。

 続発症

骨折した後に、骨折に続いて起こる合併症が「骨折の続発症(ぞくはつしょう)」です。

外傷性皮下気腫 

肋骨骨折で肺を損傷したときに、空気が肺から皮下組織に侵入することで起こります。自覚症状はないことが多く、柔らかく雪を握ったような触感があります。経過観察することになります。

脂肪塞栓 

骨折したことで骨髄内の脂肪(黄色骨髄)が血管に入ることで起こります。大腿骨・骨盤骨や多発骨折で起こりやすく、過度に動かすことで発症率が高まります。
 
骨折後1~3日後に起こり、肺塞栓では呼吸困難やチアノーゼ、脳塞栓では頭痛・不安感・意識障害・嘔吐・痙攣、心塞栓では心悸亢進・血圧下行などが起こり死亡することもあります。

仮骨軟化・再骨折 

仮骨(かこつ)とは、骨折部に新たにできた不完全な骨のことです。伝染病や壊血病などの疾患によって、仮骨が硬化せず再び骨折するものです。同時治療で慎重な経過観察が大切になります。

遷延仮骨形成(せんえん・かこつ・けいせい) 

骨折部分にできる仮骨が、なかなか形成されない合併症です。6ヶ月を過ぎても癒合しないときは「偽関節(きかんせつ)」と見なされます。(下記参照)原因は糖尿病や血行不良などの疾患です。

コンパートメント症候群 

コンパーメントとは「筋肉・血管・神経」を囲む「筋膜・骨間膜・骨細胞」の空間のことをいいます。この部分の圧力が上昇して、筋肉や神経に機能障害をもたらすものです。壊死することもあります。

寝たきりによる続発性

長期治療で寝たきりになると、肺炎、床ずれ、血栓症、筋委縮、感染症、認知症、不活発病、うつなどの神経障害、尿機能障害など、疾患を発症することがあります。

後遺症

骨折が治らない、骨折は完治しても合併症が継続している、などを「骨折の後遺症」といいます。

過剰仮骨形成

仮骨(かこつ)は、骨折部分に盛り上がるように出来る軟骨です。その後、軟骨は吸収されることで縮小して硬化していきます。その仮骨が吸収されないことで「過剰仮骨形成」になります。

関節付近の粉砕骨折で起こりやすく、神経や血管を圧迫したり、可動域を制限することで運動障害を引き起こしたりします。原因は「血腫・骨膜の剥離・強い圧迫固定」などです。

偽関節

骨折がいつまで経っても、治らない合併症です。仮骨軟化が6ヶ月以上続くと「偽関節(ぎかんせつ)」と診断されます。栄養障害、局所可動、血腫、血行不良、体質異常などが原因とされます。

変形治癒

骨折部分が変形したまま固まった状態のことです。不正確な整復、不適当な固定などによって起こります。何かの疾患によって固定できない場合もあります。運動障害や神経障害の原因にもなります。

骨萎縮

 長期固定で発生するのが「骨萎縮」です。骨に負荷がかからないため、骨細胞が委縮して起こります。骨が弱くもろい状態で、神経障害・可動域低下・痛み・腫れなどの症状が現れることがあります。

無腐性骨壊死

骨へ血液が届かなくなることで、骨組織が壊死することを「無腐性骨壊死(AVN)」や骨壊死症といいます。骨は栄養や酸素が届かなくなると、破壊が始まります。進行により痛みが強くなってきます。

関節運動障害

「過剰仮骨形成・変形治癒・関節骨折・関節の損傷・長期固定」などの合併症を原因として、関節の可動域が狭くなる症状のことを「関節運動障害」といいます。

外傷性骨化性筋炎

筋肉組織が骨化する症状を「外傷性骨化性筋炎」といいます。筋肉細胞にカルシウムが沈着して起こります。骨折のほかにも、筋肉に強い打撃を受けた後でも起こりやすく、炎症や痛みをともないます。

阻血性拘縮(そけつせい・こうしゅく/フォルクマン拘縮)

血流障害により「麻痺・シビレ・筋細胞壊死」などの症状が起こります。コンパートメント症候群の症状でもあり、血行が6時間以上遮断されると、骨や筋細胞に壊死が起こり、変形したまま固まります。
 

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