ドーピング違反続出!知られざる実態と対策!

ドーピング違反

国内で1年の間に4件ものドーピング違反が発覚した。いずれも意図的ではないのだが、検査で陽性反応がでれば確実に出場停止処分が下される。ドーピングは、いかなる理由があろうとも、選手の自己責任になる。しかし日本における反ドーピングの教育や情報公開は、諸外国と比べてかなり遅れている。その背景には、知られざる企業の闇があった。

日本スポーツ界の闇!日本の反ドーピング事情

サッカーのドーピング違反

東京オリンピックを迎えるにあたり、反ドーピングに関する動きが激しくなっている。スポーツ庁は、反ドーピング認証に関する有識者会議を設置し、さまざま問題を検証している。

そもそも日本における反ドーピング対策は、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)が担っている。同機構は日本陸上競技連盟、日本水泳連盟、日本サッカー協会などの8団体のほか、大塚製薬、味の素、明治が中核をなしている。

表面的には文句のつけようのない著明な団体や企業が名を連ねるが、以前より運営方法や認証制度に関して、問題が指摘されており、先ごろスポーツ庁から厳しい指摘を受けている。

日本の反ドーピング5つの問題

かつてより、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)については、様々な問題が指摘されている。

1、利益相反

1つは、本来取り締まるべき機関であるにも関わらず、商品を認証すること自体、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)の規約違反である。そのような利益相反状態を国も放置していたことが、日本が反ドーピング後進国となっている背景との指摘もある。

2、非公益性

2つめは、国内唯一のドーピング分析機関である公益財団法人日本分析センターが、公益機関でありながら、JADAの会員以外の分析をすべて断っていたことである。その会員になるためには1000万円を超える入会金を求められるともいわれている。

3、排他性

3つめは、商品に付与されるアンチ・ドーピング認証は、中核企業の3社にしか認められていない排他性にある。内部からも多くの疑問があがっていたが、一向に改善されることはなかったという。

4、非国際性

4つめは、アンチ・ドーピング認証における分析は、1度だけしか行われないという内部情報があった。しかもその基準や分析結果は非公開という隠匿性である。これは「お手盛り」といわれても仕方がなく、国際基準からは程遠いシステムだった。

5、非透明性

5つめは、組織運営そのものの不透明さにあるという。とにかく隠し事が多く、3社の私物的な組織になっていたという証言も多い。

そのような組織が、日本のアンチ・ドーピングをけん引していたため、当然一般企業やアスリート達にまともな教育などが行われるはずもない。ドーピング違反が発覚したとき、多くのスポーツ団体は、選手の自己責任を強調した挙句、3社の商品を除く全てのサプリメントの摂取を禁止した。

しかしこのままでは、オリンピックを迎える日本スポーツ界や選手たちにとって大きな障害になると判断したスポーツ庁が、JADAにメスを入ることになる。その結果、アンチ・ドーピング認証を取りやめる方向という。さらに会員の脱退が相次ぎ存続の危機がささやかれているとか。

国際的な反ドーピング認証機関が上陸!

JADAに入れ変わる形で参入してきたのが、国際的反ドーピング分析機関である英国LGC社(Laboratory of Government Chemist)だ。ロンドンに本部を置く半官半民の化学分析機関で、元来たばこの分析を行っていた。現在はスポーツサプリメントを専門に分析する機関となっている。

ロンドンオリンピックやリオオリンピックの公式分析機関でもあり、年間13000件以上の製品分析を行っている世界最大級でもっとも信頼されている、アンチ・ドーピング分析機関だ。

インフォームド・チョイス

 

その会社が運営するプログラム「インフォームド・チョイス」「インフォームド・スポーツ」がアンチ・ドーピングに関する世界ブランドといえる。世界60ヶ国余りに拠点を置き、世界のアスリートの間では、誰もが知るブランドである。

認定の厳格性

Informed Choice_Logo

その商品認証までには大きなハードルが数多くある。認証期間も6ヶ月ほど。工場の製造設備やGMP基準などの管理体制のほか、関係するすべての工場や倉庫で、存在する全原材料や他社製品も調査の対象となる。

また認証までに何度も商品分析が行われ、認証後も製造ロットごとにロンドンにサンプルを送り分析しなくてはならない。また市場に流通している商品で、ブラインド検査も年数回行われる念の入れようだ。

世界へ情報公開

しかし、それらの検査方法や基準、検査結果はHPで公開され、世界中の誰でもが閲覧できる。それが世界的信用を得るための最低条件でもある。検査は厳しいが、それらをクリアーすれば、会社の規模などは関係なく取得できるところが、今後日本のスポーツサプリメント市場に変革をもたらせることになるだろう。

インフォームド・チョイス普及団体が発足

このアンチ・ドーピング認証を普及させるために、インフォームド・チョイス・コンソーシアム(ICC)が設立された。発起人はアンダーアーマーやDNSを展開する株式会社ドーム、「ケガをしない身体」を開発コンセプトにしたスポコラを展開する株式会社ステアス、その他、イミダゾールペプチドの日本ハムや日本水産、協和発酵バイオなどが名を連ねている。

東京オリンピックに向けて認証推進!

選手たちがオリンピックに向けて、パフォーマンスを発揮するには、ケガをせずベストなコンディションを維持する必要がある。そのためには、サプリメントの存在が欠かせない。

ドーピングは選手の自己責任であることは変わらないが、少しでも安全なものを使いたい。インフォームド・チョイスによるアンチ・ドーピング認証は、それらの期待に応えられるものになるだろう。また大手スポンサーの顔色を気にすることがなくなれば、スポーツ団体や選手にとって、選択肢が広がることになる。

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