朝爽快な目覚め!それは全ての人が持つ願望ですよね。しかし残念なことに多くの人は、満足のいく睡眠がとれないのが現実です。その最も大きな理由のひとつがストレスです。
ストレスで眠れないといった状態が続くと、慢性的な不眠症になります。そうなる前に正しい睡眠を手に入れ、不眠を改善するための4つの方法をご提案します。
目次
ストレスが睡眠にもたらす悪影響とは
なぜストレスは不眠を招くのか?
ストレスとは本来「外部からの刺激による緊張状態」のことを指します。人間関係での悩み、多忙な仕事、スポーツの試合前の緊張感などは代表的なストレスです。進学、就職、昇進、結婚、出産などの良い変化も、大きなストレスになります。
前向きになれる良いストレスであれば歓迎すべきです。しかし精神的に不安定になるような刺激は、悪いストレスとして心身の不調の原因になります。不眠はそのストレスにより起こる代表的な症状です。
ストレスによって緊張や不安が高まると、交感神経が活発になり脳や体を覚醒させ、睡眠を阻害します。心身をリラックスさせる副交感神経への切り替えも上手くいかず、不眠症状を引き起こします。このようにストレスは、睡眠に大きなダメージを与えています。
ストレスが引き起こす不眠の症状
不眠症の診断では「なかなか寝つけない」「熟睡できない」「早朝に目が覚める」などの症状が一定の頻度で起こっているか。その不眠が原因で、日中に不調が現れることがあるか。その状態が3ヵ月以上続いているかなどを確認します。そのいずれにも該当すると「不眠症」という診断がなされます。
その不眠症は4つのタイプに分けられ、その全てがストレスと密接に関わっています。
入眠障害
就寝しようとして寝床に入ってもなかなか眠れない状態の障害です。寝つくまでに30分から1時間以上かかり、本人にとって非常に苦痛な時間となってしまいます。大事な試合や試験を控え、緊張や不安といったストレスが強い場合に症状が出ます。
中途覚醒
就寝後、夜中に何度も覚醒してしまう状態です。再度眠れる場合は問題ありませんが、寝つけなくなり苦痛を感じる場合は不眠症と診断されます。日中に強いストレスを受けたことを原因に、眠りが浅くなり目覚めてしまいます。
早期覚醒
起きる予定の時間より早く覚醒してしまい、その後再び眠れなくなる状態です。日中に強い眠気を感じたり、夜遅くまで起きていられないなどの場合は、対処が必要になります。強いストレスが症状として現れ、脳が覚醒を促して早期覚醒が起こります。
熟眠障害
睡眠時間は足りているのに、疲れやだるさが残ってしまう状態です。よく「寝た気がしない」というのはこの熟眠障害にあたります。気がかりや環境の変化がストレスとなって、落ち着いて深く睡眠をとれないなどが理由です。
ストレス性不眠症を改善する3つの方向性
いずれのタイプの不眠症であっても、ストレスを軽減することで不眠症を改善することができます。改善方法は3つの方向性から考えると効果的です。
- ストレスをコントロールする!
- 睡眠の質を向上させる成分を取り入れる!
- ストレスを促進させる習慣を排除する!
ストレスをコントロールして快眠を手に入れよう
ストレスをコントロールする6つの発想
ストレスから自由になり快眠を手に入れるためにできる、ストレスとの向き合い方を6つ紹介します。
悩みを1人で抱え込まない
些細な悩みでも溜め込んでしまうと、大きなストレスへと膨れ上がっていきます。真面目で几帳面な性格の人は1人で抱え込みがちですが、その悩みについて考えすぎてしまい、睡眠に支障が出て不眠になりがちです。人を頼って悩みを打ち明けることで、肩の荷が下りてストレスが軽減されることでしょう。
完璧主義の思考をやめる
完璧主義の人は、できないことがあるとストレスを感じがちです。八分目でもいいのだと思考を柔軟にすることで、受けるストレスを減らすことができるようになります。寝る前に「あれができなかった、これもできなかった」と頭を抱えることがなくなれば、不眠の症状も解消されるはずです。
目標と現実のギャップがあれば、目標を下げることも視野に入れる
高い目標を掲げるのは素晴らしいことですが、現実とのギャップに苦しむことにもつながりかねません。辛さや疲れを感じたら、無理をせず目標を下げるのもひとつの手です。達成率が上がると幸福感が生まれストレスの解消につながり、夜ぐっすり眠れるようになるでしょう。
自分のための時間を手に入れ、リラックスする
自分のために時間を費やすことは、充足感を高めるために必要です。締め付けられるようなストレスを退散させるためには、自分の好きなものに触れながらリフレッシュするのが効果的です。リフレッシュすることで心身が安定し、深い睡眠をとることができるようになります。
喜びを見つけ、笑顔で過ごす
笑顔でいることで幸福感が高まり、ストレスから解放されて心が明るくなります。鏡に向かって笑顔を作ってみるだけでも効果があります。思わず笑ってしまう映画や番組を見てたくさん笑えば、スッキリと気持ちのよい睡眠が手に入るでしょう。
嫌な経験は客観的に振り返り、対処法を見つけてから忘れるようにする
嫌な経験をなかったことにしようとすると、また同じ失敗をするのではという不安が消えないものです。寝る前にも嫌なことが思い出され、そのストレスで不眠になってしまいます。起きたことを客観的に振り返り、対処法を確認することで、悩みは整理されストレスからも解放されます。
ここに挙げた方法は、ストレスによる不眠の症状が改善される手助けとなるでしょう。ストレスをコントロールすることができれば、不眠の症状をなくし快眠を手に入れることは難しくありません。
ストレスの状態を書き出す自己分析のススメ
ストレスを解消する方法を知るだけでは、本当の意味でストレスをコントロールできたとは言えません。ストレスの原因を分析し、客観的に見つめることでストレスを根本から撃退することができるようになるのです。そのための5つの方法をお伝えします。
ストレスの原因だと考えられる状況について書き出す
仕事や学校での環境の変化や人間関係の悩み、大事な試合や試験を前に緊張しているなど、ストレスの原因である状況について書き出します。
ストレスの対象となる人物や出来事を書き出す
職場の上司や同僚、学校の同級生や先輩、チームメイトや監督など、ストレスに関わっている人について書きます。その人との間に何があったのかなどといった、出来事についても詳しく書き出します。
そのときに感じた自分の心境を書き出す
怒り・悲しみ・不安・恐れなど、その状況での自分の気持ちや感情について書きます。このときの感情はストレスと深く結びついているので、感じたことを偽りなく書くことはとても重要です。
ストレス解消のために何をしたか書き出す
カラオケ、運動、ドライブ、買い物など、自分がストレス解消のために行ったことを書き出します。まだできていない場合は、これから何をしたいのかを書いてもよいでしょう。
ストレスへの対策案を書き出す
今あるストレスをどうすれば軽減できるのかを、思いつく限り書き出していきます。実行が難しいようなことでも、書き出すだけで頭が整理され前向きになれるものです。信頼できる人に相談してもよいでしょう。
頭の中でぐるぐる考え続けてしまうと、思考がまとまらず結論がなかなか出ません。寝る前にその状態に陥ってしまうことで、睡眠に支障が出て不眠となってしまうのです。ストレスを可視化して整理することは、その悪循環を断ち切るための良い方法と言えます。
睡眠の質を高める4つの成分でストレスを撃退!
パフォーマンスを高めるセロトニン
セロトニンとは、感情や気分をコントロールする神経伝達物質です。強いストレスを受け続けると、セロトニンを分泌する神経の働きが阻害されます。セロトニンが不足すると、体内時計が狂い不眠になるなどの症状が出ます。またストレスを原因とする病気の原因にもなります。
セロトニンを増やすには、太陽光を浴びるのが最も効果的です。セロトニンが増えることで、幸福感が高まりストレスの軽減につながります。朝起きたら太陽光を浴びる、日中に散歩するなどしてセロトニンを増やしましょう。
熟睡の立役者メラトニン
メラトニンとは、暗くなると眠くなる作用があるホルモンです。夜になっても明るい光を浴び続けると、メラトニンの分泌量は低下してしまいます。メラトニンを抑制するブルーライトは、テレビやスマートフォンの液晶画面、LEDの蛍光灯などから発せられます。
メラトニンはセロトニンから作られるため、昼間にしっかりセロトニンを増やしておくことが重要です。また寝る前にスマホやパソコンを見ると、メラトニンの分泌が低下するので注意が必要です。夜間の明るい光はストレスになるため、睡眠の質を落とさないためにも控えめにしましょう。
参考記事「メラトニンで睡眠の質が向上!今日から睡眠が変わる5つの方法」
セロトニンを作るトリプトファン
メラトニンのもとになるのはセロトニンですが、そのセロトニンのもとになるのがトリプトファンです。必須アミノ酸の一種であるトリプトファンは、良質な睡眠のために必要不可欠です。
セロトニンをしっかり増やすためには「トリプトファン」「ビタミンB6」「炭水化物」を同時にとるのが効果的です。トリプトファンを多く含む食材は、大豆製品、乳製品、卵、ゴマ、ナッツなどです。ビタミンB6は、魚類、バナナ、豆類、にんにく、生姜などに多く含まれています。
脳の興奮を抑えるL-テアニン
L-テアニンとは、緑茶などお茶に含まれるアミノ酸の一種です。カフェインの興奮作用・覚醒作用を抑制する効果があることが知られています。またリラックス効果があることも明らかになっており、ストレスを緩和させる働きが期待できます。
L-テアニンは脳の興奮を抑え、神経を鎮静化する効果もあります。就寝前に摂取することで、入眠がスムーズになり中途覚醒が減少します。睡眠改善効果の高いL-テアニンは、不眠解消の立役者となってくれるのではないでしょうか。
不眠を招く4つの習慣を、ストレスと一緒に排除
アルコールは睡眠の質を低下させる
アルコールは眠気が起こるため、寝酒として就寝前に飲む人が多くいます。しかしアルコールには覚醒作用と利尿作用があり、寝つけたとしても睡眠の途中で覚醒してしまいます。中途覚醒は大きなストレスになるので、寝酒は控えるようにするのがよいでしょう。
カフェインは睡眠物質の分泌を低下させる
睡眠物質のひとつであるアデノシンが、睡眠中枢に働きかけるのをブロックするのがカフェインです。就寝前に200㎎のカフェインを摂取すると、睡眠の質が下がるという実験結果が出ています。寝つきが悪くなりストレスからの不眠につながるため、遅い時間のカフェイン摂取は控えましょう。
ニコチンは覚醒作用がある
たばこにはリラックス効果がある反面、数時間にわたる覚醒作用も存在します。中途覚醒や熟眠障害を引き起こしやすく、リラックスのつもりがストレスになってしまいます。寝る前にたばこを吸うのは控え、歯を磨くなどしてリフレッシュしましょう。
電子機器には強い覚醒作用がある
スマホやタブレット、パソコンなどのモニターが放つブルーライトは、覚醒作用があり就寝時のストレスにつながります。実験では就寝の30分前にスマホの使用をやめるだけで、寝つきが改善するという結果が出ています。またこれらの電子機器からは電磁波が発生し、メラトニンの分泌を阻害することが研究で判明しています。就寝前にはスマホやパソコンを見ないで過ごすのが快眠への近道でしょう。
これらの習慣は依存性が高く、ストレスの原因になりかねないものばかりです。しかし付き合い方を工夫すれば、完全にやめる必要なく睡眠を改善できます。日々の生活においての付き合い方を見直すことが、睡眠の質を高めて健康的な生活を送るための一歩となるでしょう。
まとめ
ストレスが心身に与える影響は大きなものです。中でも不眠は休むべき時間を妨げられるもので、その苦痛がさらなるストレスを生んでしまいます。この悪循環に歯止めをかけるには、ストレスそのものを排除もしくは緩和することが重要です。
ストレスによる不眠を抱える人は数多くいますが、その全ての人が正しい対処方法を知らないのが現状です。この記事がストレス性不眠に悩む人の手助けになり、1人でも多くの人が辛い日々から解放されることを願います。
参考記事「不眠症や睡眠障害を改善する筋膜リリース法とは?」
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