足がつる栄養5つの不足と補給タイミング!

5大栄養素

足がつる多い理由が「栄養」と「水分」の不足です。

では具体的にどんな栄養が足りないのでしょうか?
また補給のベストなタイミングはいつなのでしょうか?

どれだけの栄養が不足して、何をどれだけとれば、こむら返りなど足がつるのを予防できるのでしょうか?

 

栄養が不足する2つの原因

筋肉を動かすのは栄養です。その栄養が不足すると、足がつるなどの症状が起きることがあります。栄養が不足する理由は「消費」と「流出」の2つです。「消費」は筋肉運動による栄養の消費で、「流出」は発汗による栄養の流出です。

筋肉運動による栄養の「消費」

筋肉運動には、5大栄養素が関わってきます。それらは全て運動によって激しく消費します。消費量は下述しますが、通常の倍から数倍もの栄養を消費します。5大栄養素とは「タンパク質」「炭水化物」「糖質」「ビタミン」「ミネラル(無機物)」です。

特に3大栄養素を除く「ミネラル」と「ビタミン」の不足が、足がつる大きな理由です。

発汗による栄養の「流出」

汗によっても大量の「ミネラル」が流出します。流出量を下記に示しましたが、体内のミネラル組成や運動内容、体内水分量や汗の濃度、ストレス状況などで大きく変わるため、目安として捉えてください。

汗1リットルで流出するミネラル量
ミネラル名 流出量 その他の微量な流出
塩化ナトリウム 900㎎

亜鉛0.4mg、銅0.3-0.8mg、クロム0.1mg、ニッケル0.05㎎、鉛0.05㎎、その他の微量元素、(Wikipedia「汗」参照)

塩化カリウム 200㎎
カルシウム 15㎎
マグネシウム 1.3㎎
1.0㎎

筋肉を動かす栄養の働き

筋肉を動かす栄養は、大きく2つに分けられます。エネルギーのもとになる「エネルギー源」とエネルギーをつくり出す「エネルギー代謝成分」です。

筋肉を動かすエネルギー源

筋肉を動かす主なエネルギー源は、糖質(炭水化物)です。食事でとった炭水化物はブドウ糖に分解されてから、各器官や細胞にエネルギーとして送られます。

ある一定量は血中に留まり脳や神経のエネルギーとして使われます。それ以外は筋肉と肝臓にグリコーゲンとして貯蔵されるのですが、それほど多くは蓄えられません。筋肉量にもよりますが、平均的男子として筋肉中に200~250g(約800~1000kcal相当分)、肝臓に50~150g(約200~600kcal相当分)ほどが限界値です。それを超えた分は、脂肪に変えられて長期保存されます。

そのグリコーゲンが枯渇すると、脂肪やタンパク質を分解してエネルギーに変換します。

エネルギー代謝成分

エネルギー代謝を行うのは、ビタミンとミネラルなどです。エネルギー源であるグルコース(糖質)や脂肪酸などは、解糖系やクエン酸回路などの複雑な経路を通ってエネルギー(ATP)に変換されます。グルコースや脂肪酸を製品原料に例えると、クエン酸回路などはエネルギーを作り出す工場になります。その工場を動かすのがビタミンB群やアミノ酸などで、副原料として酸素や水が必要になります。

クエン酸回路

つまりビタミンが不足すると、エネルギーが作られないということです。またビタミンは単独ではほとんど効力をもたず、ミネラルと協働することで機能性を発揮します。

ビタミン自体やミネラル自体にも補完機能があります。また酸素を運んだり酵素をつくったりするにもビタミンやミネラルは必須成分なのです。

 

例:鉄分・・・体内に4gしかないミネラルですが、血液中のヘモグロビンの材料になる重要な成分です。ヘモグロビンは酸素を運ぶ役割を担っているため、不足すると貧血、筋肉や末端組織の酸欠が起こります。筋肉のエネルギー代謝には必要不可欠な成分です。

その他に必要な成分

筋肉の収縮は、カルシウムイオンによって行われます。筋肉の収縮はアクチンとミオシンという2種類のタンパク質(筋原繊維)が、互いにスライドすることで起こります。脳から筋肉収縮の命令が伝えられると、筋原線維を取り囲んでいる筋小胞体からカルシウムイオンが放出されて、トロポニンという筋肉収縮スイッチを押すことで筋収縮が起こります。

つまりカルシウムが不足すると、筋収縮がコントロールできず、痙攣などを起こす原因になります。

またビタミンCは、エネルギー代謝活動で発生した活性酸素を除去する役目があるため、筋肉疲労の軽減に役立ちます。さらに筋肉や細胞を補修するコラーゲンの合成を担う働きもあるため、ビタミンBとともに多めにとることを大切です。ともに水溶性ビタミンなので、とりすぎても尿として排出されます。

その他、血流を良くするための水分の補給も重要な要素です。

足がつる原因!不足しやすい栄養

その人の栄養状態や体質、運動内容などによって不足する栄養量は変わってきます。しかし筋肉を動かすエネルギー源である糖質の不足は、体の動きが悪くなったりスタミナが切れてきたりするだけで、足がつる原因にはなりません。

足がつる原因として最も不足しやすい栄養素が「ビタミン」と「ミネラル」です。これらの栄養素は、元々微量しか体内に存在しません。それが運動で大量に消費されることにプラスして、汗で流出しやすいミネラルと、体内に長くとどまれない水溶性ビタミンの特徴があります。そのことが筋肉収縮力の低下と足がつる症状が起こりやすい原因になります。

栄養補給のタイミング

栄養補給のタイミングはいつ?

筋肉を動かすエネルギー源となる糖質は、運動前2時間ぐらいが効果的です。筋肉の補修や増強するタンパク質は運動後の摂取が基本です。(健康維持、筋力アップ、ダイエットなどの目的により食べ方は変わります)

ではビタミンやミネラルは、いつ補給すればいいのでしょうか?

そのタイミングは「随時」です。運動量にもよりますが1時間おきにはとりたいものです。小まめにとることが基本です。ビタミンやミネラルは貯蔵量が少ないため、不足しやすい成分です。タミンB群やビタミンCなどの水溶性成分は、約6時間で体外に排出されます。またビタミンの消費量は、激しい運動で倍から数倍にもなります。

栄養の補給量はどれくらい?

補給量は下に示しましたが、これは一般的な2時間の連続運動時での補給量の目安です。汗を多くかく状況や体質、筋肉への負荷の状態によって変わります。体調に合わせて少し多めにとることをおすすめします。

補給する栄養成分 通常量 運動時 栄養成分を多く含む食品例
エネルギー(kcal) 2400 +1200  ごはん、ラーメン、うどん、パンなど
タンパク質(g) 75 +60~100  魚、肉、大豆など
カルシウム(㎎) 800 +500  しらす干し、 イワシ丸干し、牛乳など
カリウム(㎎) 2500 +1500  昆布、わかめ、ひじき、パセリ、納豆など
マグネシウム(㎎) 340 +250  あおさ、わかめ、昆布、ひじき、納豆など
ナトリウム(食塩相当) 8g未満 +4
鉄(㎎) 7 +3   レバー、青のり、ひじき、きくらげなど
ビタミンA(μg) 850 +850  のり、抹茶、しそ、モロヘイヤ、人参など
ビタミンB1(㎎) 1.4 +4  豚肉、たらこ、うなぎ、いくらなど
ビタミンB2(㎎) 1.6 +3  レバー類、もつ、うなぎ肝、納豆など
ビタミンC(㎎) 100 +300  ピーマン、ゆず、アセロラ、茶葉など

(非運動時の所要量は厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年度版)」に記載された18~29歳男性の目安量から抜粋しています)

何で補給したらいいの?

本来ドリンクで補給できれば都合がいいのですが、市販のスポーツドリンクでは、なかなか不足分を補える商品は少ないようです。できたら総合(マルチ)ビタミン&ミネラルのようなサプリメントの活用も検討してはいかがでしょうか?

また注意してほしいのが、カルシウムやマグネシウム、亜鉛などの単体サプリメントの摂取です。危険をともなうことがありますので、総合(マルチ)サプリメントを活用してください。ビタミンやミネラルを総合でとることで、とり過ぎによる害は激減します。

単体のサプリメントを使う方は、栄養学に精通していてご自身で必要量と配合を調整できる方です。くれぐれもサプリメントを活用する場合は「総合剤」をご利用ください。本来ミネラルやビタミンは、総合剤でないと効力が少ないことも理由です。

足がつる栄養不足を補う番外編

足がつるのを防ぐために、栄養補給とともにストレッチも随時行ってください。連続して筋肉を酷使していると、収縮状態が継続していることがあります。運動中であってもストレッチでふくらはぎなどを伸ばしてあげることで、筋肉の可動域が増えるとともに血流が改善して、栄養が届きやすくなります。

足がつる栄養不足のまとめ

足がつる栄養不足は、5大栄養素のうちの3大栄養素を除く「ビタミン」と「ミネラル」の減少が招きます。もともと体内には微量しか蓄積されていないうえ、運動などによって消費されやすく、汗で流出しやすい特徴があります。そのため1時間以上運動が続く場合は、小まめにとることが大切です。

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