【靭帯成分】エラスチンの弾性がうみだす関節改善力!

靭帯とエラスチン

スポーツ選手の弱点「関節」

関節は「軟骨」「靭帯」「筋肉」から構成されています。その中でも、あまりケアすることができなかった部位が「靭帯」です。一度傷めると3ヶ月~6ヶ月、時には1年以上も回復に時間がかかります。

そんな靭帯の成分として注目されている「エラスチン」は、靭帯損傷、靭帯断裂、またそれらの防止において、さまざまな効果を発揮することが分かってきました。

エラスチンとは?

靭帯の弾性をつくる主成分

体内のエラスチン分布率

エラスチンは、弾性タンパク質といわれ、その繊維は伸ばしても元に戻るゴムのような性質を持っています。弾性繊維の主要成分として、靭帯のほか、血管や内臓などにも広く分布しています。

またエラスチンは、コラーゲンと同居することが多く、コラーゲンが強靭性、エラスチンが弾力性を与えています。動脈血管の50%、肺の20%または項靭帯(うなじじんたい)では80%をエラスチンが占めています。

エラスチンが不足すると硬くなる!

骨盤の靭帯群

靭帯が硬くなる!

エラスチン線維が正常に形成されないと、靭帯は柔軟性と弾力性を失い硬化します。靭帯が硬くなることで、関節の動きが悪くなり、可動領域が減少し、損傷のリスクが高まるのです。

それはスポーツ選手にとって致命傷です。その他、皮膚のたるみ、肺気腫や動脈硬化などの内臓や血管にもハイリスクとなります。

全身を支える靭帯群

足首の靭帯群

靭帯は普段意識することはありません。しかし全身の300程ある関節をすべて支え、運動機能に大きく影響しています。特に骨盤、ひざ、肩、肘、足首、手首などは靭帯が密集しています。

靭帯が関係するケガは意外と多く、捻挫や脱臼、四十肩や腱鞘炎、ひざ痛や腰痛なども靭帯が影響しますが、あまり注目が集まりませんでした。

エラスチンは加齢で減少!

ひざ十字靭帯の年齢別最大負荷

靭帯は加齢とともに劣化!

エラスチンの生成量は、コラーゲンと同様に年齢とともに減少します。それにともない靭帯の弾性が低下し、切れやすく、修復力も低下します。

膝十字靭帯の場合、最大負荷(切れる時の負荷)は30歳ぐらいから減少し、60歳代ではピークの30%まで低下します。また体重は加齢で増加しやすいため、靭帯への負担はさらに高くなります。

ひざ十字靭帯のエラスチン量

ひざ十字靭帯エラスチン量

靭帯のエラスチン量は、部位によって大きく変わります。うなじ靭帯の割合が80%あるのに対し、膝十字靭帯は20%ほどと大きな違いがあります。

これは強靭性と弾力性のバランスによって、コラーゲンとエラスチンの割合が変わるからです。

運動機能のレベルアップ!

カツオからエラスチン抽出に成功

エラスチンはさまざまな動物の心臓付近の冠動脈に多く存在します。それは心臓付近の血管が、身体の中でもっとも伸縮性が求められるからです。そのエラスチンの安定的な抽出に成功しているのがカツオです。

カツオエラスチンは、大動脈壁の一部が発達した魚特有の動脈球という組織に多く含まれます。動脈球は心室を経た動脈幹で、心臓からの血液によって常に伸縮を繰り返しています。 しかしカツオ一匹から数グラムしか取れないため貴重な原料になっています。

強い靭帯の構造

靭帯断裂

腱や靭帯は、ほとんどがコラーゲン(膠原繊維)とエラスチン(弾性繊維)からなる線維性結合組織です。

骨と筋肉をつなぐ腱は、コラーゲンが主体であるのに対し、関節部の骨をつなぐ靭帯は、部位によってコラーゲンとエラスチンの比率が変わります。この線維の代謝が低下し質が低下すると靭帯が弱く切れやすくなるのです。

靭帯の再生と強化

靭帯線維の中には、線維芽細胞というコラーゲンやエラスチンを生成する細胞があり、それが活性化することで靭帯の再生ならびに強化が促されます。それが何らかの原因で減少、または不活発化することが、エラスチンの減少や比率変化の原因になります。

靭帯が機能低下する主な3つの原因

靭帯機能が低下する原因は3つに分けられます。

  • スポーツなどによる過負荷や外傷
  • 老化による線維状タンパク質の生成力の低下
  • 過去の靭帯損傷による後遺症

靭帯機能は、捻挫や靭帯損傷、慢性障害や過負荷により低下します。関節障害により可動量が減ると筋力が減少し、回復には多くの時間が必要になります。そのため早めの回復が重要です。

また高齢者の場合、運動量の低下でロコモティブシンドローム(運動器症候群)や変形性関節症(ひざ、肘、股関節など)になる恐れがあります。

ひざ障害の原因!靭帯のゆるみと損傷

日本人の3割はいるとされる「ひざ関節障害」。その多くは「変形性膝関節症」とされ、軟骨の変形が注目されます。しかしその多くの場合、靭帯にゆるみや損傷があることは知られていません。

何らかの理由で靭帯がゆるむと、関節の可動が不完全になり、軟骨の損傷を招きます。一度ゆるんだ靭帯は元には戻らないため、再生力を高めるしかありません。ひざ障害を「軟骨」「筋肉」「靭帯」の3点から捉えると、有効的な解決策が見えてきます。

靭帯の機能低下により起こる症状は、スポーツによるひざの慢性障害、変形性関節症(ひざ、肘、股)、捻挫や靭帯障害、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)などです。また変形性膝関節症患者の22.8%は、靭帯が断裂しているとされています。

靭帯の修復が長期化する理由

靭帯の構成成分であるエラスチンやコラーゲンなどのファイバープロテイン類は、体の中でもっとも長いライフサイクルをもっています。つまり靭帯の代謝は遅いということです。

体内のファイバープロテインがすべて入れ替わる時期は、部位によって異なります。肌は1~2ヶ月、骨は3~6ヶ月、靭帯にいたっては6~9ヶ月ほどかかります。それが靭帯損傷の回復に時間がかかる理由です。

エラスチンの靭帯への作用

エラスチンの靭帯損傷の改善作用試験

靭帯損傷改善試験

内側側副靭帯を損傷させた家兎(12週齢)経口摂取ならびに注射による投与で、改善状態が観察された。その結果、カツオエラスチンの経口摂取では、弾性率、断面積、最大変形量について有意傾向にあった。局所注射では、弾性率ならびに断面積で明らかな有意差が認められた。いずれのケースでも自然長(長さ)には変化が見られなかった。

エラスチンのひざ痛軽減作用

エラスチン摂取による膝痛軽減試験

エラスチン摂取による膝痛軽減結果

エラスチン摂取によって、ひざ痛の軽減が確認されました。アンケートの結果を2つの表にまとめました。

表①では「ひざの痛みの程度-VAS」、表②では「ひざの痛みやこわばり」「日常生活の状態」「ふだんの活動」の合計です。

試験の結果

エラスチンを摂取することで、6週間後には膝痛が大きく軽減したのが分かります。その後も軽減し続け、12週間後には痛みも半分近く治まっています。またエラスチンはグルコサミンとの相性も良く、グルコサミンを同時摂取した方が、より効果的なことが分かりました。

試験の方法

試験方法1
  • 被験者:45歳~75歳の男女21名(平均53.8歳±7.2)
  • 試験デザイン:3群間の平行比較、プラセボ対象二重盲目検査試験
  • 試験群:プラセボ群7名、エラスチン群7名、エラスチン+グルコサミン群7名
  • 摂取量:エラスチン群(カツオエラスチン75mg)、エラスチン+グルコサミン群(エラスチン75mg+グルコサミン1000mg)
  • 期間:2012年6月~8月(前12週間)
  • 評価項目:①JKOM膝関節痛アンケート調査(摂取前+6週間後+12週間後)、②運動量調査(歩数計記録)、③日誌(各観察日前7日間、本人による日誌の記録)、④血圧測定(摂取前+12週間後)、⑤血液生化学検査(摂取前+12週間後)
試験方法2
  • エントリー基準:①ひざ関節痛の自覚症状がある方、②変形性膝関節症の注射薬や内服薬の投薬を受けていない方、③関節リウマチの治療を受けていない方、④冷え性を自覚している方、
  • スクリーニング基準:JKOM膝関節痛アンケート調査のスコアが高い方、同スコアの場合はVASの数値の高い方を優先する(s値78名)
  • スクリーニング実施項目:JKOM膝関節痛アンケート調査
  • 被験者の割付方法:被験者のJKOM膝関節痛アンケート調査のスコア、およびⅠのVAS数値の平均値が各群でできるだけ同一になるように割り付ける

その他の試験

その他、靭帯細胞による試験では、①細胞増殖促進作用、②エラスチン発現作用、③Ⅰ型コラーゲン発現作用、④Ⅲ型コラーゲン発現作用、④骨芽細胞様分化抑制作用などが確認されました。

これらの試験は、三重大学ならびに林兼産業の共同研究によるものです。

【参考文献】

  • Comp.Biochem.Physiol.,64B,313-327(1979)
  • 魚類生理学講座、ミドリ書房 (1968)
  • Fish. Sci.,72 1322-1324(2006)
  • Biol. Chem.,235,995-998 (1960)
  • 「靭帯」改善、関節とスポーツサプリメントの素材として/林兼産業株式会社
  • 林兼産業株式会社HPエラスチンから

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