LDLコレステロールが基準値を超えて増加すると、血管の伸縮率を低下させ、運動機能に大きな影響を与えます。毎日運動しない方は、コレステロールの基準値をコントロールすることが大切です。
LDLコレステロールは、細胞膜やホルモンの材料になる重要な脂質ですが、脂質バランスが崩れ悪玉化すると、様々な機能障害を起こします。
目次
コレステロールの正常化!
コレステロール値を正常化するには、4つの基準値があります。
- 総コレステロール基準値
- LDL(悪玉)コレステロール基準値
- HDL(善玉)コレステロール基準値(LDLとのバランス)
- 体脂肪率(ほぼ中性脂肪)の基準値
これらの基準値をコントロールすることで、コレステロール値を正常化することができます。そこでもう少しコレステロールのことについてお伝えします。
①LDLコレステロールの特徴 ②コレステロール4つの種類 ③LDLコレステロールの基準値 ④コレステロール値の悪化を防ぐ
LDLコレステロールの特徴
悪玉と聞くと、相当に悪いヤツ!というイメージがありますよね。
しかしコレステロールは、細胞膜やホルモンの材料になる必須脂肪です。細胞膜は、細胞に栄養と取り入れたり、細胞内の老廃物を排出したりする重要な出入り口です。
LDLは、コレステロールの種類ではない!
そもそもLDLとは、コレステロール自体の種類ではなく、コレステロールが血中を輸送されるときに結合する、リポタンパク質との複合体の種類です。(後述)
コレステロールは単独では移動できないため、リポタンパク質と結合して各細胞へ届けられます。つまりコレステロールの運搬具がLDLです。
LDLコレステロール基準値超えで悪玉化
LDLは、とても良いヤツでは?
しかし食事から供給されたコレステロールは、次から次へと細胞に運ばれます。増えすぎると細胞に入りきれなくなり、血中のコレステロール基準値を押し上げます。
そして行き場を失ったLDLコレステロールは、血管壁に付着しはじめるのです。
コレステロールによる影響
コレステロールの付着は、血管を細めて血圧や脈拍を上昇させます。また長期的にこの状態が続くと、血管を硬く脆くする動脈硬化の原因になり、更なる血圧や脈拍の急激な上昇につながります。
最悪の場合は、血管が詰まったり血管が破裂したりするリスクが高まります。それが脳で起これば脳卒中やくも膜下出血、心臓で起これば心筋梗塞ですね。これらのことが、LDLコレステロールが悪玉コレステロールといわれる所以です。
コレステロール4つの種類
LDLは、コレステロールの運搬具といいましたが、LDLの他にもコレステロールを運ぶリポタンパク質があります。
LDLコレステロールの基準値とは、総コレステロール基準値内で、HDL(善玉)コレステロール基準値とのバランスがとれている状態を指します。
リポタンパク質の役割
なぜ脂質であるコレステロールは、血液(ほぼ水分)に溶けるのでしょうか?まさに水と脂ですよね!
コレステロールを細胞まで運ぶには、脂質を血液に溶かす必要があります。そこで登場するのがリポタンパク質!リポタンパク質はコレステロールと結合して、表面をリン脂質やアポタンパク質などの脂質で包みます。そのリポタンパク質は、目的別に4つに分類されます。
カイロミクロン
小腸から吸収された脂質を、肝臓や筋肉に運ぶ働きをします。もっともサイズが大きく比重が軽いのが特徴で、食事から得た脂質をドンドン肝臓に送り込みます。
LDL:低比重リポタンパク質(いわゆる悪玉)
肝臓で作ったコレステロールを全身の細胞に届ける働きをします。LDLはコレステロールを多く抱えるのが特徴です。過剰に増加すると、いわゆる悪玉といわれるものです。
VLDL:超低比重リポタンパク質
肝臓で作った脂質(主に中性脂肪)を、他の組織や筋肉に運ぶ働きをします。比重は水と同じなのが特徴です。
HDL:高比重リポタンパク質(いわゆる善玉)
細胞や血中から、余分なコレステロールを回収する働きをします。他のリポタンパク質が、コレステロールを運ぶ役割をしますが、HDLは唯一コレステロールを回収するリポタンパク質です。
LDLコレステロール基準値!
コレステロール値の正常化は、スポーツ機能だけではなく、健康や病気の予防の基本になります。
2つのポイント!基準値とバランス
LDLコレステロールのコントロールで大切なのは、基準値とHDL(善玉)コレステロールとのバランスです。
HDLコレステロール値やLDLコレステロール値は、病院で行う血液検査の基本的な検査項目になります。正確な数値は定期的な確認で充分です。
日常的にご自宅で確認するには、体脂肪計つきの体重計で「体脂肪率」を目安にするといいでしょう。体脂肪率を減らすことが、直積的にLDLコレステロールを下げることにつながります。
日本人の成人のコレステロール値の基準
種類 | 基準値 | 要注意 |
総コレステロール値 | 130-200mg/dl
(境界値201-219mg/dl) |
220mg/dl以上
高コレステロール血症 |
HDLコレステロール値 | 男性40-60mg/dl
女性45-65mg/dl |
男性40mg/dl未満
女性45mg/dl未満 低HDLコレステロール血症 |
LDLコレステロール値 | 70-120mg/dl
(境界線121-139mg/dl) |
140mg/dl以上
高LDLコレステロール血症 |
中性脂肪値 | 50-149mg/dl | 150mg/dl以上
高トリグリセリド血症 |
日常的に確認する体脂肪率はBMIという数値が基準になります。計器によって大きな誤差がありますが、あくまでも目安レベルとしては役に立つ数値です。
BMIの基準と計算方法
BMI(ボディマス指数:肥満指数)次の計算から求められます。
BMI=体重(kg)÷〔身長(m)×身長(m)〕
例:体重65kgで身長175cmの場合、65÷(1.75×1.75)= 21.22(BMI)
計算方法は以上になりますが、体脂肪計は自動的に計算してくれます。
BMIはWHO(世界保健機関)基準と日本基準(判定)があります。日本基準は下記のとおりです。
BMI | 肥満度 | 肥満状態 |
18.5未満 |
低体重 |
痩せぎみ、痩せすぎ |
18.5-25.0未満 | 普通体重 |
正常値 |
25.0-30.0未満 |
肥満(1度) |
やや肥満ぎみ |
30.0-35.0未満 | 肥満(2度) | 軽度の肥満 |
35.0-40.0未満 | 肥満(3度) | 中度の肥満 |
40.0以上 | 肥満(4度) | 重度の肥満 |
コレステロール基準値の正常化
コレステロール基準値を正常化するには、中性脂肪のコントロールが大切です。中性脂肪のコントロールは、脂質と糖質の「入」と「出」がポイントです。ざっくり言うと、カロリー(kcal)の(摂取量‐消費量)で、マイナスであれば中性脂肪は低下し、プラスであれば中性脂肪が増加します。そのコントロール方法は、主に4つあります。
- コレステロールを多く含む食品をあまり食べない
- コレステロール値を下げる食品を積極的に食べる
- 継続的な運動により中性脂肪率を下げる
- コレステロールを下げる医薬品を服用する
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