不足した栄養素を補うサプリメント。効果的に活用するポイントとは?

サプリメント効果

 

日々の健康管理に役立たせる目的で使われるサプリメント。アスリートにとっては、ケガや疲労が試合や練習に大きく影響を与えるため、常日頃から健康な状態を保つため何らかの対策を考えていることでしょう。

そうしたときに、利用を検討したいのが手軽に摂取できるサプリメントです。しかし、漠然とサプリメントを摂取するだけではもったいない! サプリメントをより効果的に活用するポイントをお伝えします。

サプリメントを使うメリット

慢性的な栄養不足

食生活の見直しが必要

サプリメントを利用する一番のメリットは、なにより「効率よく必要な栄養素を摂取できること」です。先日発表された「国民健康・栄養調査」の結果でも、ビタミンとミネラルの不足が指摘されています。

それによると、多くの日本人は「ビタミンA(βカロテン)」「ビタミンB1・B2・B6」「ビタミンC」「カルシウム」「マグネシウム」「鉄」「亜鉛」等の栄養素が不足気味ということです。

また栄養素の中には「食事の偏り(糖質過多や高タンパク質食等)」、「飲酒」「運動」「ストレス」などにより、過剰に摂取しているものもあります。パフォーマンスを考えるなら、食生活の見直しが必要です。

ビタミンとミネラルの不足率

ビタミンとミネラルの不足率

*上記の表は、厚生労働省の「国民健康・栄養」調査(2019)を参考に集計したものです。分かりやすくするために、男性18~49歳までの推奨量(ほとんどの人が充足する量)もしくは目安量(推奨量が算出できないもの)を100%として、実際の調査による摂取量を充足率として計算したものです。

効率的な栄養補給

栄養バランスの良い食事を考えていても、実際に食べられる量に限界があります。必要な栄養をとることは重要ですが、そのために無理をして大量に食べていたのでは、かえって胃腸への負担をかけてしまいます。

その点、必要な栄養素が詰まっているサプリメントは、身体への負担を減らしながら手軽に摂取でき、体調や状況に合わせて好ましいものを選択できるというメリットがあります。

2014年の仁川アジア競技大会の代表選手1140名に対して行った調査で、バランスンのよい食事を心がけているが92.3%、サプリメントを利用している選手が90.4%で、積極的に摂取していることが分かります。

サプリメントを効果的に活用する5つのポイント

サプリメントには多くの種類があり、それぞれに含まれた栄養素の働きも異なります。また、同じサプリメントであっても、ほかに飲んでいる薬との相性や摂取量によっては、身体に負担になる可能性があります。数あるサプリメントの中から代表的なものをあげて、より効果的に活用するポイントをお伝えします。

  1. 金属系ミネラルの飲み合わせ
  2. 効果的なタイミングと組合せ
  3. ビタミンはバランスが大事
  4. 睡眠と休養が効果を高める
  5. プロテインとワンセットで

亜鉛のサプリメントは飲み合わせに注意

亜鉛の過剰摂取に注意

ミネラルのサプリメントである「亜鉛」に注目するアスリートは多いようです。しかし、場合によっては悪影響を起こす場合も。たとえば、キノロン系などの抗菌薬をケガ治療で飲んでいた場合、亜鉛のサプリメントを摂取することで、体内に吸収される抗菌薬の量がへり、医療効果を阻害することになります。

現在使用している医薬品や、その他のサプリメントなどと併用が可能かどうか、確認したうえで利用しましょう。また亜鉛に限らず、サプリメントは摂取量を増やせばよいというものではありません。購入したサプリメントに記載されている規定量を超えないように摂取するようにしましょう。

金属系ミネラルによる医薬品の阻害

アスリートが注意するミネラルは「亜鉛」だけではありません。亜鉛のほかにも金属系のミネラル(カルシウム、鉄、亜鉛、マグネシウム)は、基本的にキノロン系の薬剤の働きを阻害するようです。しかしミネラル群は、スポーツ選手にとってもっとも不足しがちで、もっとも重要な栄養素です。

医薬品との併用に注意のいる健康食品/愛知県薬剤師会

サプリメントは効果的なタイミングと組み合わせで

ビタミン摂取のタイミング

ビタミンに「水溶性」「脂溶性」等あるように、栄養素にはそれぞれ特徴があり、摂るタイミングや組み合わせによって吸収や働きが異なる場合があります。

例えば水溶性のビタミンである「ビタミンB群」や「ビタミンC」は、まとめて摂取しても余剰分は速やかに排泄されるという特徴があるため、1日2~3回に分けてこまめに摂取すると、効率的に摂取できます。

また脂溶性のビタミン(ビタミンA、D、E、K)は油と一緒に摂ると吸収が良くなるといわれているため、食後、特に油ものを摂取する可能性の高い昼食後や夕食後のタイミングでの摂取がいいでしょう。

鉄やアミノ酸のタイミング

さらに「鉄」は空腹時に吸収が高まるとされていますが、胃腸への刺激が強いため、空腹時に摂取することで腹痛や下痢などの症状が起こる恐れがあります。そういった症状が出た場合は、鉄も食後に摂るようにしてみましょう。鉄はビタミンCと一緒に摂ることで吸収が良くなるため、ビタミンCも摂れるといいですね。

BCAA等のアミノ酸は食後に摂ると、食事中に含まれるアミノ酸の吸収が優先されて吸収が悪くなるともいわれています。食後2~3時間のタイミングや空腹時に摂取するようにしてみましょう。

ビタミン類の摂取はバランスよく

ビタミン不足になる原因

糖質や飲酒量が多い場合、疲労感が強い場合は、ビタミンB群の消費量が増加します。また日焼けによる肌への負担や目が疲れている場合は、ビタミンAやビタミンCの消費量が増加します。

さらにストレスによってビタミンCが多く消費されます。強高度の運動をした試験では、ビタミンCを250㎎~1g摂取させることで、風邪の罹患率が50%低下したという報告もあります。

「統合医療」情報発信サイト『ビタミンC』/厚生労働省

効率的にビタミンをとる!

またビタミンB群は「ビタミンB1」「ビタミンB6」のように単一で摂取するよりB群でまとめて摂取したほうが体内での働きが良くなるといわれています。「ビタミンC」は「ビタミンA」「ビタミンE」と一緒に摂ることで相乗効果が期待でき、より強い抗酸化作用を期待することができます。

しかし、普段の食事からこうしたビタミン類を摂取しようとすると、食事量やカロリーが過剰になってしまうのが難点です。そんなとき、食品で足りない分を補うサプリメントを利用することで、健康維持のバックアップに役立ちます。ビタミン類には多くの種類があるため、バランス良く摂取できているかを意識しながら、状況に応じて適切なサプリメントを補助的にうまく摂取しましょう。

睡眠と休養も忘れずに

どんなに質の高いサプリメントを取っていても、消化吸収力が低下していると身体のなかに取り込めません。なかでも睡眠不足が続くと、胃腸の働きが低下してしまうため注意したいところ。さらに睡眠不足は体内での代謝異常等を引き起こし、生活習慣病のリスク上昇に関与するという風にも考えられています。

※睡眠と腸内環境に関する論文 (腸内細菌学雑誌 31:143-150,2017)

回復力を高めたいのであれば、しっかり寝て、しっかり休むことが大切です。ストレスケアとしてリラックスできる時間をとりましょう。

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プロテインとワンセットで摂取しよう

人の身体は60%が水分で、次に多いのがタンパク質(プロテイン)です。全体の15~20%を占めており、筋肉をはじめとする臓器だけでなく、血液や酵素、ホルモンなどを作る材料です。身体の土台を支えるタンパク質は、ビタミンやミネラルなくして働くことはできません。

アスリートに必要なタンパク質量を食事だけで摂取するのは大変です。そこで食事の補助として、プロテインやBCAAにプラスして、ビタミンやミネラルをサプリメントで一緒に摂取することをおススメします。

サプリメントは食事と組み合わせて賢く利用しよう

手軽に利用できるサプリメントですが、あくまでも食事をフォローする補助的なものでしかありません。実際、栄養素を調査した研究のいくつかでは「食事由来」の栄養素で効果が認められていても、サプリメントからの栄養素では同等の効果が得られなかったという報告もあります。

まずは日常の食事や生活習慣を見直すことが大切です。過剰摂取に気を付けて、食事と組み合わせてサプリメントを賢く上手に活用しましょう。

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