【エネルギー代謝の仕組み】解糖系・クエン酸回路、糖新生・電子伝達系

エネルギー代謝!燃えるアスリート

 

「代謝」とは何なのでしょうか?代謝といってもエネルギー代謝糖代謝脂質代謝基礎代謝新陳代謝などいろいろありますよね。代謝とは生命を維持するために、体外から取り入れた物質(食品などの無機物や有機化合物)を素材として行われる一連の合成や化学変化のことです。

食べた食品は消化され、アミノ酸、ペプチド、脂質、糖質として小腸吸収されます。それらの物質は酵素や補酵素(ビタミンなど)を使い複雑な工程を経て、エネルギー変換や筋肉や血管などのタンパク質に合成されます。この工程の1つ1つが代謝で、経路や関連物質によって、さまざま代謝名がついています。

代謝とエネルギー代謝

食べ物や飲み物は、体内で酵素などにより分解や合成を繰り返し、さまざまな物質に変化します。この一連の変化や部分的な変化を「代謝」と呼んでいます。この代謝全体を俯瞰で見ていくと、よく理解できます。

栄養素と代謝

栄養の代謝(役割)

栄養素の役割は、大きく3つの代謝に分けることができます。下記に主な役割(代謝)分担を示しましたが、実際は複雑に絡み合い互いに協力し合って代謝活動を行っています。

エネルギーを作る 原料 糖質、脂質、タンパク質、(酸素)
酵素 タンパク質
補酵素 ミネラル、ビタミン
カラダを作る 原料 タンパク質、脂質、ミネラル
酵素 タンパク質
補酵素 ミネラル、ビタミン
カラダの調子を整える ミネラル、ビタミン、食物繊維、アミノ酸

エネルギーとは?

エネルギー=ATP

エネルギー代謝とはエネルギーを作り出すことですが、そのエネルギーとは「ATP/エー・ティー・ピー(アデノシン3リン酸)」のことを指します。つまり「エネルギー代謝=ATP産生」を意味します。

ATPはアデノシン(塩基)に、3つのリン酸が付いています。エネルギーが放出されると、リン酸が1つなくなりADP(アデンシン2リン酸)になります。エネルギー代謝とは、ADPにリン酸をつける工程でもあります。エネルギーは熱量として換算され、一般的には「kcal(キロカロリー)」で表します。

ATP アデノシン+リン酸3つ エネルギーを蓄えた状態
ADP アデノシン+リン酸2つ エネルギーを放出した状態

疲れやすい人のATP生産

元気な人はATPをたくさん作れ、持久力のある人はATPを長時間作り続けられます。反対に疲れやすい人はATPが効率的に作れていないのです。その代表的な理由に「栄養不足」「糖質過多」「口呼吸」があります。

糖代謝(無酸素)では2ATP作れますが、有酸素代謝では38ATP作れます。日常的な口呼吸では、呼吸が浅くなり肺の上部しか使わなくなるので、酸素を多く取り入れられません。「口呼吸から鼻呼吸のへ改善!

代謝の種類

異化と同化の分類

代謝はいろいろな分類方法がありますが、もっとも基本となるのが「異化」「同化」の2つです。

異化 エネルギー物質を作る エネルギー物質「ATP」いくつかの代謝を経て作る
同化 エネルギー以外を作る エネルギーを使いタンパク質などを合成する

一般的「代謝」の意味

一般的に言われる「代謝」を整理しておきましょう。普段使っている「代謝がいい!」「代謝が悪い!」の意味は、エネルギー代謝による熱転換率や新陳代謝のことを指しています。

新陳代謝(同化)

古い細胞が新しい細胞に変わることで、生物学的ではなく一般的な用語

エネルギー代謝(異化)

糖質・脂質・タンパク質(アミノ酸)からエネルギーをつくる工程

糖代謝(異化)

糖からエネルギーをつくる一連の工程の総称

脂質代謝/脂肪代謝(異化)

脂質(脂肪)からエネルギーをつくる一連の工程の総称

基礎代謝(異化)

何もしていなくても使われるエネルギー消費(量)

物質代謝(異化・同化)

物質代謝:物質交換ともいわれ、物質が変化(変換)すること

その他(異化・同化)

その他、代謝に関わる「酵素名」や「成分名」が代謝名にもなる

エネルギー代謝の種類

消費割合による3つの分類

【基礎代謝:60%】

生命維持に必要なエネルギー代謝で、心臓や脳などを動かす最低限の代謝のことです。全エネルギー消費量の約6割を占めます。

【活動代謝:30%】

歩く、走る、運動する、思考するなど、活動することで基礎代謝にプラスされるエネルギー代謝で、全エネルギー消費量の約3割を占めます。

【食事誘発性熱産生:10%】

食事をすると身体が温かくなります。この代謝を「食事誘発性熱産生(DIT)」または特異動的作用(SDA)といいます。体内に吸収された栄養素が分解され、熱(エネルギー)を発生させます。全エネルギー消費量の平均10%ほどですが、食品によって異なり肉などのタンパク質は約30%、糖質のみは約6%、脂質のみは約4%が熱に変わります。

無酸素代謝と有酸素代謝による分類

「一般的な呼吸」と「代謝でいう呼吸」は意味が違います。一般的な呼吸は、酸素を吸って二酸化炭素を排出することを指し「外呼吸またはガス交換」といいます。生物学的な呼吸は、有機物を分解してエネルギーを製造し、貯蔵されるまでを指し「内呼吸または細胞呼吸」といいます。

また「酸素」を使ってエネルギーを作ることを「好気呼吸(こうき‐こきゅう)」、「酸素」を使わないでエネルギーを作ることを「嫌気呼吸(けんき‐こきゅう)」といいます。有酸素運動は好気呼吸のことで「クエン酸回路」や「電子伝達系」が使われ、無酸素運動は嫌気呼吸のことで「解糖系」が使われます。

「無酸素系エネルギー代謝」と「有酸素系エネルギー代謝」の関係は、運動強度と運動時間によって、シーソーの関係に例えられます。瞬発系の息が苦しくなる運動では「無酸素系エネルギー代謝」の割合が多くなり、持久系で安定した呼吸運動では「有酸素系エネルギー代謝」の割合が多くなります。

無酸素系と有酸素系の特徴
無酸素系 有酸素系
代表的回路 解糖系 クエン酸回路・電子伝達系
原 料 糖(グルコース) 脂質、タンパク質、ピルビン酸(糖代謝物)
代謝開始 早い 遅い
代謝量 2ATP 36ATP(合計38)
副産物 乳酸 水素

無酸素系の「解糖系」は、糖(グルコース)を代謝してATPを生産します。解糖系が町工場だとすると、有酸素系の「クエン酸回路・電子伝達系」は巨大工場になります。解糖系はすぐにATPを作れますが、1グルコースから2つのATPしか作れません。解糖系はピルビン酸も生産し、それが有酸素系の原料になります。

一方ミトコンドリア内にある「クエン酸回路・電子伝達系」は、ビタミンやミネラルなど多くの設備が必要なため、すぐには稼働できません。しかし解糖系の18倍のATPを生産できます。(合計38ATP)

エネルギー代謝回路の種類

嫌気呼吸 クレアチン-リン酸系(ATP-CP)、解糖系、糖新生
好気呼吸 クエン酸回路(TCAサイクル)、電子伝達系、ケトン体回路
  • クレアチン‐リン酸系:筋肉のクレアチン‐リン酸から瞬時にエネルギーを発生
  • 解糖系:グルコースをピルビン酸などに分解する。その過程でATP2つが発生
  • 糖新生:糖の枯渇時に、タンパク質や脂質を分解してグルコースに変える
  • クエン酸回路:ピルビン酸を原料に有酸素で電子伝達系と連動して機能
  • 電子伝達系:有酸素系の代謝で、最終的に36のATPを発生させる
  • ケトン体回路:飢餓状態の非常事態用エネルギー回路で脂質を原料とする

各回路(サイクル)の機能やメカニズムは、後半で詳細にお伝えしています。

エネルギー代謝過程と対応時間
エネルギー代謝の種類 無酸素の代謝 有酸素の代謝(+解糖系)
ATP-CP ATP-CP+解糖系 解糖系+有酸素
代謝継続時間 2~8秒 8~90秒 90~180秒 180秒~
対応する種目 短距離 準短距離 短中距離 中距離~長距離
乳酸の発生 多い 非常に多い 非常に多い 少ない

エネルギー代謝の仕組み

エネルギー代謝の全体像

エネルギー代謝俯瞰図

エネルギー代謝は、原料の種類や使われ方で回路が異なります。原料は「糖質」「脂質」「タンパク質(アミノ酸)」の3種類です。上図は全体略式図で、実際には各経路の間にも多くの化学反応があります。

運動強度が高く息切れするような運動では、無酸素系のエネルギー代謝が多くなります。一方運動強度が低い持久系の運動では、有酸素系のエネルギー代謝が多くなります。有酸素系の代謝でも糖が必要なため、不足している場合は糖新生によってグリコーゲンを生産します。

エネルギー代謝の場所

無酸素系の代謝は細胞質基質

エネルギーは細胞膜内で代謝されます。細胞内の「細胞質基質/さいぼうしつきしつ」では、解糖系が無酸素代謝(嫌気呼吸)を行います。そこで作られたピルビン酸は、細胞膜内のミトコンドリアに取り込まれ、クエン酸回路や電子伝達系(有酸素/好気呼吸)で代謝されます。

有酸素系の代謝はミトコンドリア内

細胞内にミトコンドリアは平均300~400個ほどあり、DNA(遺伝情報)の格納や酸素呼吸を行っています。ミトコンドリア外で行う解糖系は、2つのATPを発生させますが、ミトコンドリア内のクエン酸回路・電子伝達系では、酸素を活用して36のATPを発生させます。詳しくは後述します。  

クレアチン‐リン酸系の代謝(無酸素系)

2秒で点火する瞬発系エネルギー!クレアチン-リン酸系(ATP-CP系)は、筋肉内に蓄えられているクレアチン-リン酸(CP)をクレアチンとリン酸に分解します。そのリン酸をADPに再合成させてエネルギー(ATP)を発生させます。この代謝は無酸素で瞬間的にできるため、瞬発力のエネルギーとして使います。

【クレアチン‐リン酸+ADP】⇒【クレアチン+ATP】

しかし筋内のクレアチン‐リン酸は微量しかなく、10秒以内に枯渇します。体重1kgあたり100kcal程度しかないので、猛ダッシュ(体重1kgあたり13kcal/秒)では8秒ほどで尽きてしまいます。その間に解糖系がエネルギーを生産し始めます。

解糖系の代謝(無酸素系)

解糖系は「解」「糖」と書くように、糖質を分解する回路です。分解する過程で、ATP、水素、ピルビン酸を発生させます。糖質とは多糖体(グリコーゲン)のことで、バラバラにすると単糖(ブドウ糖/英語:グルコース)になります。無酸素で素早く代謝でき、1グルコースあたりATPを2個つくります。

正確にいえば、2つのATPを使って解糖系を稼働させ、4つのATPを作り出します。その後、酸素があればピルビン酸はミトコンドリアに取り込まれ、大量のATPを産生します。しかし酸素が不足していれば、ピルビン酸は「乳酸」に変わります。

解糖系回路の特徴

  • 原料:グルコース(単糖・ブドウ糖)のみ/糖質分解物または糖新生から
  • グルコースの原料:グリコーゲン(多糖)、デンプン、炭水化物
  • 最終生産物:ピルビン酸、水素、2ATP
  • ピルビン酸は酸素量に比例して、クエン酸回路に取り込まれる
  • ピルビン酸は発生時に酸素が不足していると乳酸に変わる
  • 乳酸はエネルギー源にもなるが、細胞を酸化させ疲労を与える
解糖系の代謝過程(10段階)
ATPを2つ使用 1段階 グルコースのリン酸化
2段階 グルコース6-リン酸の異性化
3段階 フルクトース6-リン酸のリン酸化
ATPの変化なし 4段階 開裂
5段階 トリオ―スリン酸の異性化
6段階 グリセルアルデヒド3-リン酸の酸化
7段階 1,3ビスホスホグリセリン酸からのADPへのリン酸基の移転
ATPを4つ発生 8段階 リン酸基の分子内移転
9段階 2-ホスホグリセリン酸の脱水
10段階 ホスホヘノールピルビン酸からADPへのリン酸基の転移

糖新生のグリコーゲン生産(無酸素系)

糖新生(とうしんせい)とは、飢餓状態に陥った動物が「糖を作り出す」メカニズムです。脂質代謝でも糖が使われるため、脂質を分解したグリセロール、アミノ酸(糖原性)、乳酸、ピルビン酸などからグルコース(単糖)を作ります。糖新生は肝臓内で行われますが、飢餓状態が進むと小腸や腎臓でも行われます。

糖新生が急激に起こると高血糖(ソモジー効果)をもたらします。また「絶食」や「ダイエット」などで糖不足が深刻になると、糖新生により筋肉が分解され新陳代謝が低下することがあります。

クエン酸回路の代謝(有酸素系)

解糖系で作られたピルビン酸は、ミトコンドリアのマトリックスに取り込まれ、酵素Aによって脱炭酸化され「アセチルCoA」に変化します。またアセチルCoAは、脂肪酸のβ酸化やアミノ酸からも作られます。

アセチルCoAは「クエン酸回路」(またはTCAサイクル)に取り込まれ、オキサロ酢酸と反応して「クエン酸」になり、クエン酸回路内をいくつもの代謝を経ながら一周して、オキサロ酢酸に戻ります。

クエン回路において、アセチルCoAからNADH(脱水素補酵素)やFADH2(酸化還元反応の補因子+2水素)を合成し「電子伝達系」に渡します。また発生した二酸化炭素は、ミトコンドリア外に排出されます。

クエン酸回路周辺経路

クエン酸回路の特徴

  • 「細胞内」⇒「ミトコンドリア内」⇒「ミトコンドリア・マトリックス内」
  • クエン酸回路は「アセチルCoA」が取り込まれることで始動する
  • アセチルCoAは、ピルビン酸(解糖系由来)、脂肪酸、アミノ酸から作られる
  • アセチルCoAを「NADH(脱水素補酵素)」と「二酸化炭素」に分解する
  • 「NADA」がエネルギー代謝の最終段階である電子伝達系に渡される
  • 二酸化炭素はミトコンドリア外に排出される
  • クエン酸回路では、多くの栄養成分が働いている(後述)

クエン酸回路に関わる成分

クエン酸回路では、さまざまな酵素や補酵素によって代謝します。代表的な栄養素を示しましたが、それら以外でもミネラルは、すべての栄養素が働くための基礎栄養素です。

代表的なビタミン類 ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシン、パントテン酸)
代表的なアミノ酸類 グルタミン酸、グルタミン、アルギニン、プロリン、アスパラギン酸、アスパラギン、リシン、メチオニン、スレオニン、イソロイシン

クエン酸回路と電子伝達系のイメージ

クエン酸回路と電子伝達系

電子伝達系の代謝(有酸素系)

電子伝達系」は好気呼吸(有酸素代謝)の最終段階の反応で、「水素伝達系」または「呼吸鎖」ともいわれます。電子伝達系には、大きく2つの機能があります。1つはミトコンドリア内膜の外(膜間空間)を酸性化する機能、もう1つはミトコンドリア内膜の内外pH差でADPをリン酸化してATPを生産する機能です。

プロント濃度勾配 ミトコンドリア内膜の内外(pH)濃度差をつくる
ATP合成機能 pH濃度差を利用して水素イオンが膜内に戻るエネルギーでADPをリン酸化しATPを合成

クエン酸回路の生産物NADH(脱水素補酵素)は、脱水素化される過程で電子伝達系へ電子を供給します。電子は電子伝達系を通過し、最終的に酸素に渡され水になります。この全過程を呼吸鎖といいます。

ミトコンドリア内膜にある電子伝達系は、クエン酸回路の生産物(NADH)から派生した電子が、電子伝達系(複合体Ⅰ~Ⅳ)を通過することで水素イオンを膜外に放出します。その結果、膜の内側がpH8.0(アルカリ性)、膜の外側がpH7.0(ほぼ中性)になります。ちなみに1グルコースから合計100以上の水素イオン(プロトン:H+)が放出されます。

これをプロトン濃度勾配(のうどこうばい)といい、ATP合成酵素(複合体Ⅴ)は濃度差により膜外の水素イオンが膜内に戻るエネルギーを利用して、ADPをリン酸化してATPを合成(酸化的リン酸化)します。

この有酸素系代謝で、1グルコースあたりATPが36個、解糖系とあわせて38個のATPが発生します。

wikipedia “電子伝達系” “NADH” “クエン酸回路

ケトン体の代謝

ケトン体はグルコースが枯渇したとき、肝臓のミトコンドリアでアセチルCoAから産生します。ケトン体は3物質(アセト酢酸・3-ヒドロキシ核酸・アセトン)の総称で、脂肪酸やアミノ酸の不完全代謝物です。

グルコースの枯渇原因は、糖代謝異常、高脂肪食、高運動強度、肝臓内でのアセチルCoA過剰産生、Ⅰ型糖尿病によるインスリン欠乏などがあります。ケトン体の大量発生で、アシドーシス(血液の酸性化)になる特徴があります。生命維持のための緊急のエネルギー源で、筋肉や脂肪の減少につながります。

その他の特徴として、脳のエネルギーとして活用されます。脳の血液脳関門は「グルコースしか通さない」とされていましたが、空腹時に脳が機能するのはケトン体による脳のエネルギー化です。ケトン体は血液脳関門を通過し、脳細胞内で再びアセチルCoAに戻され、ミトコンドリア内のクエン酸回路を稼働させます。またケトン体の成分アセトンが気化して、口臭や体臭に酸っぱい臭いが交じります。

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