あなたがイメージする正しい歩き方とは、どのようなものをイメージしますか?
恐らく、そのイメージは間違っています。小さいころから学校で教わってきた歩き方、モデルさんなどのきれいな歩き方、痩せるためのダイエットウォーキングやエクササイズウォーキングは、腰痛を悪化させる恐れがあります。
目次
正しいウォーキング法とは?
正しいウォーキング法は、背筋をスーと伸ばし、アゴを引き、腕を振り、膝を伸ばし、つま先で地面を蹴るように歩く姿をイメージしていたとしたら、それは大間違いです。
またエクササイズウォーキングやパワーウォーキング、モデルのように洋服をきれい見せる歩き方とも違います。このような歩き方は、若いうちはできても、高齢者には負担が大きくなります。
それとは真逆な『腰痛を改善するウォーキング法』とは、「外また」で歩くちょっと格好の悪い歩き方です。しかしそれが私たち日本人の体の構造に、もっとも合ったウォーキング法なのです。
腰痛ウォーキング7つのポイント
「内ひざ」が、腰痛の大きな原因になっていることを、前項でお伝えしました。ここでは、その内ひざを「外ひざ」に変えて、腰痛を改善するウォーキング法をお伝えします。そのポイント7つです。
0、正しい立ち方(ウォーキングの準備)
1、つま先とひざ頭の方向を一致させる
2、ひざを軽く曲げる!伸ばさない!
3、足裏の重心は外側を通る!母指球で踏み込まない
4、骨盤を立てる、または前傾させる!
5、胸は軽くはり、アゴは引かない!
6、手や肩は振らない!
7、腰をひねらない!
以上が腰痛を改善する正しいウォーキング法ですが、変な歩き方ですよね。しかし一度試してみると分かるのですが、かなり腰に優しい方法です。では詳しく見ていきましょう。
ウォーキングの基本の正しい立ち方
正しい歩き方の基本は「立ち方」にあります。一般的には学校で習った「気をつけ!」のイメージで、両足のかかとをつけ、膝を伸ばし、脚の内側に力を入れ、胸をはり、アゴを引くスタイルです。
しかしこの姿勢は、どのスポーツ競技にも存在しないことにお気づきですか?その理由は簡単!次の動作に移るのに、大きな力が必要だからです。つまり体への負担が大きくなります。
スポーツ競技などで瞬発力を発揮するには、体への負担が小さく、少しのエネルギーと時間で大きく動ける「ガニ股」が中心になります!では、正しい立ち方とは?
正しい立ち方!
正しい立ち方とは、膝下が内回転しない立ち方です。
- 足幅は肩幅よりも少しせまく
- つま先を少し開く(15度ほど)
- 膝をつま先方向に少し曲げる
- お腹を引っ込めお尻を少し突き出す
- 胸を軽く張りアゴは少し上げる
- 足裏圧はかかとと、足底外側にかける
これがもっとも身体の機能が有効に使え、動きやすく、腰や膝に負担をかけない立ち方です。くわしい説明は「腰痛ウォーキング7つのポイント!」でお伝えします。
立ち方を確認する!
正しく立つ簡単な方法があります。
- 壁を背にして10cm離れて立つ
- かかと20cm離し、つま先を15度ずつ広げる
- お尻を壁につけ、胸を張り後頭部は10cm離す
- 膝を軽く曲げ、ひざ頭をつま先方向にあわせる
- 足裏の踵と小指側に重心をかける
つま先とひざ頭の方向を一致させる!
腰痛を改善する基本「外旋歩き」
足を踏み出すとき、膝をつま先方向に振り出すと、内回転だった膝下が外回転になります。膝頭の上からみると、膝下が膝頭方向、または外側に向かって着地します。
内旋を外旋に変えることで、膝の捻じれは小さくなり、腰やヒザへの負担が抑えられます。
ひざをつま先側に向ける理由
重量挙げやレスリングは膝の向きが重要です。リオオリンピックでも活躍した三宅選手や登坂選手などは、ほぼつま先と膝の方向が一致しています。
膝頭とつま先は、常に外側の同じ方向を向くことで、腰や膝に余分な負担をかけることなく、多くのパワーを伝えられます。もしも内膝なら、関節部は壊れてしまいます。
ひざを軽く曲げ伸ばさない!
脚を伸ばす衝撃!
立っているだけで、片膝に体重の1.1倍の負荷がかかります。立っているだけなのに?
倒れないために膝付近の筋肉に大きな負荷がかかります。
歩いている時は体重の2.6倍、階段を降りる時は体重の3.6倍、走っている時は体重の5倍以上の負荷がかかります。
脚を伸ばした状態で着地すると、筋肉がクッションが役に立たず、膝にはダイレクトに負荷がかかります。
さらに膝を伸ばすと、膝下が外旋するため、膝を捻じりながら衝撃を受けることになります。つまりキレイ歩き方やハイヒールを履いた歩き方などは、結果的に膝を痛めることになります。しかも筋肉が衰える年齢になってから悪化することが予測されます。
膝を伸ばすと腰を痛める10秒実験
2つの歩き方を比べてください。
①まずは、足の指全部を上に反らして歩いてください。
②次に、かかとを上げて歩いてください。
どうですか?始めの歩き方の方が、すんなりと前進しませんでしたか?つま先立ちで歩くと、膝が伸びて歩きづらくなります。しかも体重が膝にダイレクトにかかります。
かかとは前に進むアクセルの役目で、つま先はブレーキの役目です。つまり膝を伸ばして歩くということは、ブレーキをかけながら前に進んでいるようなもので、その負担がすべて膝と腰にかかります。
足裏の重心移動は外側が基本!
今までの常識が違う?
外旋歩きの足裏重心移動は、踵から外側を通って親指に抜けます。一般的な踵から一直線に母指球に抜ける重心移動は、ヒールアップによる膝が伸びた体重移動です。
アーチ機能を発揮させる歩き方
土踏まずアーチは、衝撃を吸収する板バネの役目をしますが、近年アーチが潰れている偏平足が増えています。
その理由が靴や歩き方が変わったことによると思われます。足裏の重心を外側に戻すことで、アーチのクッション性と再現性が高くなります。
骨盤を前傾させると自然に前進する!
骨盤の傾きで変わる腰の使い方
日本人の骨盤は、後に傾いている傾向にあります。それを修正することで、体の動きや腰への負担が大きく変わります。座るときは、骨盤を立てることを心がけてください。
試しに、骨盤を後傾させたり前傾させたりして歩いてみてください。後傾したままでは、前に進みづらく、腰に負担がくるのが分かると思います。歩くときは、骨盤を前傾または立てると腰への負担が軽減します。
日本人と外国人の骨盤の違い!
日本人の骨盤は後傾、欧州人の骨盤は前傾しています。そのため日本人の体の構造は、後退しやすく前進しにくい特徴があります。例えば日本の包丁やノコギリは引くことを基本にしています。
日本固有の武道である柔道や合気道は引込みによる技がほとんどです。引き込むことで相手の力を利用して、技を掛けることを得意としています。これらも骨盤が後傾している構造を活かしたものといえます。
ちなみに欧州の包丁やノコギリは、押すことで切れる構造になっています。格闘技でも前進するスタイルが多いようです。これは欧州人の骨盤が前傾しているからです。そのため立ち方や歩き方、走り方やフォームにいたるまで、日本人が欧州人のスタイルを真似るには課題があるようです。
胸を軽くはり顎は引かない!
きれいなS字型の脊椎に
骨盤を立て、胸を軽く張ることで、脊椎がきれいなS字型になります。これがもっとも無理のない自然なスタイルです。胸を張り過ぎている腰への負担が増えるので注意しましょう。
アゴを引くと背中に緊張が
アゴを引くとS字型が崩れ、それを維持するために背中や腰に余分な緊張が起こります。そもそもアゴを引くのは、徴兵制時代に整列時の顔の傾斜を統一させるために始まりました。
頭の重さを感じたことはありますか?肩や首の力を抜いて、頭を前後左右にゆっくり動かしてみると、どこにも負担がかからず頭の重さが消える一点があります。アゴが少し上がっているはずです。
手を振らない!
なぜ、手を振って歩くのですか?
それは歩幅を広げて運動量を増やしたり、バランスをとるためです。しかし、それは下半身と上半身の捻じれを大きくする動作で、腰にとてつもない無理をかけていることになります。
上半身は、下半身にそっと乗っている状態がベストです。手は意識して振る必要はありません。ちなみに昔の日本人は、歩くときに手は振らなかったそうです。
腰をひねらない!
もうひとつ、腰を捻る行為があります。それが綺麗な歩き方で、つま先を正面に向けてあるいたり、一直線上を歩いたりする方法です。人間の下半身は、本来そのような構造になっていないので、腰を捻って前に押し出すことでカバーします。腰を大きく回転させるとバランスを崩すため、上半身を反対側に大きく回転させて安定を保とうとします。
長時間歩くことができない方法は、それだけ大きな負担がかかっているということです。
まとめ
腰痛ウォーキングは如何でしたでしょうか?
「立ち方」から始まり、歩き方の7つのポイントを抑えるだけで、腰痛を改善することができます。今日から始めても、早くて3日、遅くても2週間で身に着けることができます。腰痛の改善は、すぐにでも感じることができると思います。
ちなみに有名人では、北野たけしさん、ダウンタウンの浜田さん、プロゴルファーの池田勇太さんなどが、これに近い歩き方をしています。好き嫌いはありますが、この歩き方は腰痛を治す「腰痛ウォーキング」です。
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<参考文献>
間違いだらけのウォーキング~歩き方を変えれば痛みが取れる~ 著者:木寺英史 出版:実業之日本社、基礎から学ぶスポーツ障害 著者:鳥居俊 出版:ベースボールマガジン社、錯覚のスポーツ身体学 著者:木寺英史 出版:東京堂出版、腰と丹田で行う剣道 著者:森田文十郎 出版:剣道ゆうき会、足についての本当の知識 水口慶高 出版:実業之日本社、伝統と断絶 著者:武智鉄二、
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