バレーボールで多い7つの怪我の症状と処置法!

 

勢いのあるスパイクや強烈なブロックなど、バレーボールの魅力はその迫力にある。しかしその激しさはネットを挟んでの対戦であるため、選手同士の接触による突発的な怪我は少ない。しかしバレーボールは無理な姿勢や動作が多く、選手の身体に大きな負担がかかり慢性的なスポーツ障害を起こしやすい。

ここではバレーボールで起きやすい7つの怪我とその症状、適切な処置方法を紹介する。怪我の早期回復を目指すバレーボール選手の皆さんに、この記事をぜひ役立ててほしい。

バレーボールに多い7つの怪我

ジャンパー膝(膝蓋腱炎)

ジャンプと着地を繰り返すバレーボールでは、ジャンパー膝が発生しやすい。ジャンプのたびに大腿四頭筋が引っ張られ、膝への強い負荷が炎症を起こす。多くの場合、片側に発症したら反対側も発症する。

ジャンパー膝の主な原因はオーバーユースだ。成長期の骨の伸びに筋肉や腱の成長が追い付かないことも原因になる。背が急速に伸びた高身長選手は、ジャンパー膝になりやすいのだ。

ジャンパー膝の症状

  • 運動のあと膝に痛み(疼痛)が起こる
  • 運動をしている間、継続的に疼痛がある
  • 安静にしていても痛む

初期では運動後に膝が痛む程度だが、悪化すると運動中にも痛みが出る。重症化すると日常生活にも支障をきたす。オーバーユース障害であるジャンパー膝は、放置しても自然治癒しないので急いで受診しよう。

処置方法

ジャンパー膝はひざの酷使が原因なので、安静にして練習を休止することで回復を早める。運動時はウォームアップやテーピングでサポートしよう。終わったらアイシングをすることも忘れずに。

ジャンパー膝はバレーボール選手の職業病とも言えるが、軽症なら完治までにさほど時間はかからない。体の硬さを筋膜リリースやストレッチで改善すると、怪我の予防もでき回復も早くなる。

手指の突き指

バレーボールの突き指

突発的な怪我が少ないバレーボールで、突き指は代表的な怪我だ。相手のスパイクをブロックするときに多く発生している。特にタイミングを外されると、力が緩んでいることで突き指を起こしやすくなる。

バレーボールは大きなボールを使うため、小指に突き指を起こしやすい。突き指は軽く扱われがちだが、骨折や脱臼を起こすこともある。靭帯断裂で重傷化することもあるので、症状の自己判断は避けるべきだ。

突き指の症状

  • 関節に熱や腫れ、痛みがある
  • 指が変形している
  • 関節がぐらつき、左右に動いてしまう

指先の骨(末節骨)を伸ばす腱が切れると、指先が曲がったままになる。指の第二関節(基関節)の両側に側副靭帯があり、それが切れると痛みや腫れを発症、重傷になると脱臼や剥離骨折により関節が変形する。

処置方法

受傷したらすぐにPOLICE処置を行う。安静にして痛みのある指全体を冷やし、添え木とテーピングなどで固定する。突き指を引っ張って治すというのは間違いで、初期症状では患部を動かしてはいけない。

プレー中に起きやすい突き指だが、適切な処置をしないと回復が遅れる。痛みを我慢して悪化させると、完治まで時間がかかってしまう。早い段階で医療機関を受診し、念のためにレントゲン検査も必要だ。

足首の捻挫

バレーボールでは、足首の捻挫も起こりやすい。ジャンプの着地で足首を捻り、靭帯が引き伸ばされることで捻挫は起きる。特に足首の外側に発症することが多い。捻挫は軽く考えられがちだが、骨折や靭帯損傷の可能性もある。きちんと処置を行わないと、復帰どころか引退も余儀なくされるスポーツ障害だ。

足首の捻挫の症状

  • 関節を動かすと痛む(運動痛)
  • 患部を押すと痛む(圧痛)
  • 安静にしていても痛む(自発痛)
  • 関節が不安定でぐらぐらする

軽度では痛みが少なく、足首を曲げると痛む。中度になると痛みや腫れが強くなり、重度では体重をかけられないほど痛み歩行も難しくなる。重症化するほど靭帯損傷がひどく、早急な処置が必要な状態になる。

処置方法

捻挫をしたら直ぐにPOLICE処置をし、患部全体を冷却し圧迫する必要がある。内出血が広がることを想定し、きつく圧迫しすぎないよう固定する。受傷直後はあまり動かさず、安静にしておくことが大切だ。

軽傷なら1~2週間ほどで通常の練習に復帰できるが、復帰を焦り完治前に運動すると再発を招く。処置が悪いと捻挫を繰り返すことになり、完治が長期化する。捻挫を軽視せず、医療機関をきちんと受診しよう。

肩関節障害

肩関節

強烈なスパイクを打つバレーボール選手の肩には、とても強いストレスがかかる。空中での不自然な姿勢で肩を酷使することで、肩の筋肉や靭帯が徐々に損傷していく。

バレーボールでの肩の怪我の原因は、ほとんどがオーバーユースかフォームが悪いことによるものだ。関節を安定させる腱板が切れたり、剥がれたりして、肩関節の緩みや脱臼状態が起こることもある。

肩関節障害の症状

  • 運動時に痛む
  • 腕を上げたときに痛む
  • 肩が外れたようにぐらぐらする

発症部位は個人差があるが、外側・前方・後方に起きやすい。肩関節が緩い人は「ルーズショルダー」になりやすく、スパイク時に痛みが出やすい。肩に疲労が蓄積されると、亜脱臼により肩が外れる感じがする。

処置方法

痛みがあるときはしっかりアイシングを行う。肩の負担を軽減し、患部を休ませることが大切だ。肩の筋膜リリースやストレッチ、軽めのトレーニングなど、肩関節の柔軟性を保てるケアが必要となる。

肩関節障害の原因は、オーバーユースのほかに、体全体のバランスの崩れもある。腹筋や背筋の筋肉バランス、インナーマッスルの筋力低下によりフォームが崩れ、無理な負担が肩にかかる。筋力バランスと柔軟性を高めることが、肩を守ることにつながるのだ。

腰痛

腰椎分離症

腰痛を抱えるバレーボール選手は多い。スパイクは空中で上体を反らし、一気にエネルギーを放出させるため、腰への負担が尋常ではない。慢性的な腰痛のほかに、急性の肉離れもよく発生する。

腰の疲労を放置していると、より大きな怪我を引き起こすことになる。腰の疲労骨折である腰椎分離症がその一つだ。背骨の椎間板が破れ、中の組織が神経根を圧迫する椎間板ヘルニアも発症しやすい。

腰痛の症状

  • 突然強い痛みが起きる(急性)
  • 腰周辺が熱く重い感じがする(慢性)
  • 前屈・後屈などの動きで痛む(慢性・急性)
  • 下肢に痺れや痛みを感じる(神経圧迫時)

急性のぎっくり腰は、激痛により動けなくなることがある。慢性腰痛は体を曲げた時に痛みが起き、種類によって痛みの方向が異なる。前屈での痛いは椎間板ヘルニア、後屈でに痛みは腰椎分離症の疑いがある。

腰痛の処置方法

急性型の腰痛にはアイシングを、慢性型のものは温めるのが良いとされる。その上で運動を完全に休止し、安静にするのがベストだ。コルセットなどで固定すると、患部への負担が軽減される。

単なる腰痛と軽く考えずに、必ず医療機関での診断を受けるのがよい。腰椎分離症や椎間板ヘルニアなど、重篤な状態である可能性があるからだ。放置すればバレーボールどころか、日常生活にも支障をきたす危険があることを忘れてはならない。

シンスプリント

シンスプリント

シンスプリントは腓骨(ひこつ)過労性骨膜炎と呼ばれ、オーバーユースで脛(すね)が痛む慢性的な障害だ。バレーボールはジャンプ動作が多いため、この怪我を発症する選手が多い。バレーボールのコートが硬く反発力が高いことも、シンスプリントの原因になっている。

急激な運動量の増加も原因となり、シーズン初期の新入部員に多い。痛みを感じながらも練習を続け、慢性化するケースがほとんどだ。症状が進行すると安静時にしていても痛むようになる。

シンスプリントの症状

  • 患部を押すときに痛む(圧痛)
  • 歩いたり運動すると痛む(運動痛)
  • 患部が腫れる

シンスプリントは腓骨の内側下部が、強いストレスを受けて痛みや腫れを起こす。初期では運動時や運動後に痛むが、重度では安静時でも痛みを感じる。下腿部や足周辺の柔軟性不足による硬い状態で起きやすい。

シンスプリントの処置方法

シンスプリントの効果的処置は、アイシングと運動を休止して患部を安静にすることだ。痛みが軽減してきたら、徐々に負担の少ない運動をすることで回復が早まるとされる。

シンスプリントの原因には酷使のほか、シューズの不適合や体重の増加も原因とされる。また下腿部の筋肉や靭帯の硬さも怪我につながるため、ストレッチや筋膜リリースで柔軟性を高めることが予防になる。

オスグッド病

オスグッド病

オスグッド病とは、10〜15歳の成長期に発症しやすい膝の軟骨障害だ。身長が伸びる成長期には、骨の伸びに筋肉の成長が追いつかない。体が硬くなるこの時期に、膝を使い過ぎるとストレスを受け発症する。

膝の曲げ伸ばしには、大腿四頭筋(太もも前部)が使われる。この筋肉を酷使すると、未成長の膝成長軟骨を剥がしてしまう。引っ張る力が強すぎることで発症するため、牽引力を抑えるとともに、膝と大腿四頭筋の柔軟性を高めることが予防につながる。

オスグッドの症状

  • 押すと痛む(圧痛)
  • 歩いたり運動すると痛む(運動痛)
  • 膝の下部分の骨が突出する

膝関節下側の骨が飛び出し痛みが起きる。安静時には痛みはないが、歩行や階段の昇降をすると痛みが出る。痛みを我慢して練習を続けることも多いが、正しく治療しないと将来に影響が出てしまう。

オスグッドの処置方法

まずは患部をしっかりアイシングするのが大事だ。練習量を抑えて安静にすることで、患部へのストレスを軽減できる。膝や大腿四頭筋の柔軟性を高めるため、筋膜リリースやストレッチを入念に行うのがよい。

オスグッド病は、成長期の子供にとって大敵だ。体の状態が日々変わる成長期では、不調を見逃さない対応が不可欠だといえる。子供たちは無理をしがちなので、大人の観察と指導が子供の将来を守ることになる。

バレーボールで多い怪我のまとめ

バレーボールでのケガは慢性化しやすい。ケガの発症や再発をしにくい体づくりが大切になる。体全体の筋肉や体幹バランスを見直し、日頃から筋膜リリースやストレッチで柔軟性を高めることは予防にもなる。軽いケガだからと痛みを我慢せず、きちんと医師の診断を受けることも重要だ。

ケガをしたら復帰を急ぎがちだが、どうか焦らないでほしい。完治前に無理に復帰しても、再発しやすくなるだけだ。中長期の目線でケガと向き合い、完治と再発防止のためにできることをする時間も大切だ。

適切なケガの処置は回復を早める。それは復帰の日が早くなるということでもある。正しい対処でケガを克服できれば、あなたはより活躍できることだろう。

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