必須元素「ミネラル」がないと全ての栄養は機能しない。ミネラルの不足は、様々な不調の原因にもつながる。また反対に過剰摂取によっても障害の危険性がある。そのポイントはアスリートにとって必須だ。
目次
必須ミネラル16種類
必ず外から摂取しなくてはいけない必須ミネラルは16種類ある。そのうち1日の必要摂取量が100mg以上が「多量ミネラル」で、100mg未満が「微量ミネラル」に分類される。
多量ミネラル | 微量ミネラル |
カルシウム | 鉄 |
リ ン | ヨウ素 |
カリウム | マンガン |
硫 黄 | 銅 |
塩 素 | コバルト |
ナトリウム | 亜鉛 |
マグネシウム | モリブデン |
クロム | |
セレン |
カルシウム(Ca)
カルシウムの特徴と働き
・ミネラルの中で最も量が多い
・体内のカルシウム量は900-1200g(60㎏体重)
・99%が骨と歯に貯蔵され、1%が血中と細胞にある
・血中カルシウム量が減少すると、骨から供給される
・カルシウムとリンが結合して骨に供給される(1:1が理想)
*以前は2:1とした時代もあるが、現在は1:1としている
・カルシウムとマグネシウムが結合して血管や心臓に供給される(2:1)
・カルシウムを吸収するにはビタミンDが必要
・全カルシウム量の20%が、毎年入れ替わる
・ビタミンA/C/D、鉄、マグネシウム、リンと一緒の時に最も働く
・リンが多すぎると、カルシウムを放出する(現在リンの過剰摂取傾向)
・リンは化学肥料や清涼飲料水、加工食品やお菓子類に多く含まれる
カルシウムの効果と摂取
・筋肉の収縮や神経の緊張の緩和
・丈夫な骨にして骨折のリスクを軽減する
・不眠症やイライラの解消する
・心臓鼓動の安定、動脈硬化や高血圧の予防
・大腸ガンのリスクを軽減する
相性判断
(良)リン+ビタミンD ⇒骨を形成する
(良)マグネシウム ⇒心臓や血管を正常に機能させる
(悪)多量の脂肪・シュウ酸・フチン酸 ⇒カルシウムの吸収を阻害する
過剰摂取の症状・毒性(過剰症)
・マグネシウム欠乏症、便秘、肝臓結石、尿道結石や感染リスク上昇
・1日3000mgを継続した場合、高カルシウム血症になる可能性
不足の症状(欠乏症)
・骨軟化症、骨粗鬆症、骨折の治癒遅滞、イライラ、不眠症、動悸など
推奨摂取量
・成人男子 800mg/1日 (1000mg=1g)
・成人女子 650mg/1日
・リンがカルシウム量を超えると、カルシウムが放出される(骨軟化)
カルシウムを多くむ食品
干しエビ、煮干し、乾燥ひじき、牛乳、乳製品、大豆、いわし、緑色野菜、豆類など
*吸収力の高い牛乳などは、カルシウムを放出し骨軟化症の可能性がある
*参考:「牛乳の飲み過ぎで骨粗鬆症!?骨密度をUPする2つのポイント」
*参考:骨折が気になる方は「骨折の治療期間を3倍早める2つのタンパク質」
リン(P)
リンの特徴と働き
・リンはすべての細胞内に存在する
・骨や歯が作られるには不可欠
・リンが適切に機能するにはカルシウムとビタミンDが必要
・ほぼ全ての生理反応に関わる
・リンがないとナイアシン(ビタミンの一種)が吸収されない
・リン脂質、核酸の成分として機能する
・心臓や腎臓の機能の正常化に関わる
・神経伝達に必要など
リンの効果と摂取
・成長と体の修復、関節炎の痛みを緩和する
・脂肪と炭水化物のエネルギー代謝を助ける
・骨と歯、歯ぐきを健康に保つなど
相性判断
(良)カルシウム+ビタミンD ⇒骨を形成する
(悪)鉄・アルミニウム・マグネシウムの過剰摂取 ⇒リンの効果消失
過剰摂取の症状・毒性(過剰症)
カルシウムの吸収を阻害し、骨を脆くする、その他カルシウム欠乏症の症状
不足の症状(欠乏症)
副甲状腺機能亢進症、歯槽膿漏、その他カルシウム欠乏症の症状
*リンは多すぎても少なすぎてもカルシウムの吸収を阻害する
推奨摂取量
・成人男子 1000mg/1日 (1000mg=1g)
・成人女子 900mg/1日
リンを多くむ食品(100g中)
煮干し1500mg、しらす干860mg、するめ1100mg、プロセスチーズ730mg、イワシ丸干し570mg、いくら530mg、卵黄570mg、すじこ490mgなど
カリウム(K)
カリウムの特徴と働き
・ナトリウムと協働で、心拍のリズムを正常に保つ
・不足すると、神経や筋肉の機能が低下する
・減少させるもの⇒低血糖、断食、下痢、ストレスなど
カリウムの効果と摂取
・脳に酸素を供給し、思考を明晰にする
・神経や刺激の伝達を円滑にする(筋肉への情報伝達など)
・体内の老廃物の除去を助ける
・血中のpHを一定に保つ、血圧を安定させる
・アレルギー治療を助ける
相性判断
(良)ナトリウム ⇒正常な心拍リズム、正常な神経や筋肉の機能
(悪)アルコール、コーヒー、砂糖、利尿剤 ⇒カリウムの働きが悪くなる
(悪)ナトリウムの摂り過ぎ ⇒カリウムの効果を失くす
過剰摂取の症状・毒性(過剰症)
慢性腎炎や尿毒症の原因に、極端に多い場合は心臓に危険、特に18g以上で毒性
不足の症状(欠乏症)
低血糖症、浮腫
*カリウムは肉体的・精神的ストレス、断食、低血糖、下痢で欠乏を招く
推奨摂取量
・成人男子 2500mg/1日(1000mg=1g)
・成人女子 2000mg/1日(授乳婦は2400mg)
カリウムを多くむ食品(100g中)
こんぶ5300mg、わかめ素干し5200mg、ひじき(乾)4800mg、あおさ3200mg、千切大根3200mg、パセリ1000mg、豆味噌930mg、よもぎ890mg、アボガド720mg、ひき割り納豆700mg、ホウレンソウ690mgなど
硫黄(S)
硫黄の特徴と働き
・毛髪、皮膚、爪、軟骨組織の重要物質
・脳への酸素供給バランスを助ける
・ビタミンB群とともに糖質、脂質の代謝を補助
・タンパク質やアミノ酸の構成要素
・単独ではなくシスチンというアミノ酸に含まれる
・肝臓の胆汁分泌を助ける
硫黄の効果と摂取
・皮膚や爪を強くし、毛髪をつややかにする
・免疫機能を高め、細菌感染とのファイトサポート
相性判断
(良)ビタミンB群 ⇒基本代謝をサポート
(良)有機硫黄MSM+ビタミンC+フラボノイド⇒アレルギー、寄生性感染防御力
(良)有機硫黄MSM+グルコサミン ⇒関節の痛み軽減
過剰摂取の症状・毒性(過剰症)
特になし、毒性もない
不足の症状(欠乏症)
皮膚炎、しみ、毛髪や爪の発育障害
推奨摂取量
栄養所要量の策定はない
硫黄を多くむ食品
アミノ酸「シスチン」を含む、牛肉、牛乳、小麦粉、大根、ニラ、玉ねぎなど
*肉と摂る場合、野菜類と一緒にとらないと効率が落ちる
塩素(CI)
塩素の特徴と働き
・血中のアルカリ性―酸性のバランスと調整する
・ナトリウム+カリウムとの化合物で働く
・肝臓の機能を助け、体内の老廃物除去をサポート
塩素の効果と摂取
・消化を助ける ・柔軟性を保つ
相性判断
(良)塩素+ナトリウム+カリウムの組み合わせで機能する
過剰摂取の症状・毒性(過剰症)
毛髪や歯が抜けるなど
不足の症状(欠乏症)
食欲不振、消化不良、栄養素の吸収阻害など
推奨摂取量
栄養所要量の策定はない
塩素を多くむ食品
塩、海草など
ナトリウム(Na)
ナトリウムの特徴と働き
血液中の濃度が高くなると、薄めるために水分が血液中に引き込まれるため、血液量が増えて血圧が上がる。また末梢血管を収縮し細くするため、さらに血圧は上がる。反対に濃度が低くなると浸透圧が下がり、体液の水分が細胞に移るため、むくみの原因になる。
・筋肉の弾性を維持する
・他のミネラルの吸収を助ける
・ナトリウムの過剰摂取は、カリウムを激減させる
・神経伝達をスムーズにする
・消化液、体液のアルカリ性―酸性のバランスと調整する
・浸透圧や生体機能を調整する
・必要量は通常の食事でとれている
ナトリウムの効果と摂取
・極度の疲労や熱中症を予防する
・神経と筋肉が正常に機能するのを助ける
相性判断
(良)塩素+ナトリウム ⇒塩化ナトリウム(食塩)
過剰摂取の症状・毒性(過剰症)
血圧上昇、動脈硬化、胃ガンや食道ガンの発症リスクが高まる
不足の症状(欠乏症)
軽度:吐き気、脱力感、筋肉の痙攣、運動機能の低下など
重度:急性の嘔吐や下痢、低ナトリウム症、錯乱、こん睡、痙攣など
推奨摂取量
・成人男女600mg/100g(1000mg=1g)
塩素を多くむ食品(100g中)
食塩39000mg、海草類1000-7000mg、ラーメン2500mg、漬物類1000-5000mg、納豆・味噌1000-5000mg、チーズ500-1000mg、魚介類30-300mg、肉類30-100mg、野菜1-50mg、果物1-50mg、
マグネシウム(Mg)
マグネシウムの特徴と働き
・300以上の酵素反応に補酵素として働く
・ほぼ全ての細胞に存在する(骨5%、筋肉40%、細胞間液1%など)
・不足すると骨から供給されるが、同時に5倍のカルシウムも放出する
・抗ストレスミネラルとして知られる
・カルシウム、リン、ビタミンCなどの様々な代謝に関与
・筋肉や神経が正常に機能するのに不可欠
マグネシウムの効果と摂取
・脂肪を燃焼させエネルギーを生みだす
・神経と筋肉が正常に機能するのを助ける
・うつや不安神経症などの予防や改善をサポート
・心臓発作の予防や循環器系の健康を維持する
・カルシウムの沈着、腎臓結石、胆石の予防など
・早産を予防する、消化不良を予防する、骨や歯を健康に保つ
相性判断
(良)+カルシウム ⇒自然の精神安定剤として機能する
過剰摂取の症状・毒性(過剰症)
反射低下、筋脱力、運動失調、こん睡、精神変化、錯乱、嘔吐、低血圧、顔面潮紅など
*食事では起きにくい、投薬や腎機能異常による排泄機能の低下などで起こる
不足の症状(欠乏症)
発育不全、筋肉の震え、筋力の低下、痙攣による運動障害、めまい、ひきつけ、感情の鈍麻、極度の過敏症、不安神経、錯乱、食欲不振、睡眠障害、さらに腎不全、腎結石、狭心症、不整脈、心筋梗塞、高血圧、糖尿病などの原因にもなる
推奨摂取量
・成人男性 340mg(1000mg=1g)
・成人女性 270mg(妊婦は310mg)
塩素を多くむ食品(100g中)
アーモンド310mg、カシュ―ナッツ240mg、落花生170mg、インゲン150mg、玄米110mg、枝豆62mg、国産大豆220mg、納豆100mg、のり340mg、ひじき(乾)540mg、わかめ(乾)1100mg、純ココア430mg、カキ74mg、ホウレンソウ69mg、
鉄(Fe)
鉄の特徴と働き
・食品に含まれる鉄には2種類ある、
・動物性に多いヘム鉄(二価)、植物性に多い非ヘム鉄(三価)
・吸収率が悪い、ヘム鉄10~20%、非ヘム鉄1~6%、残りは便で排出
・非ヘム鉄は、消化酵素やビタミンCで三価から二価に変化して吸収される
・体内で鉄は、2つの機能に分けられる、運搬する「機能鉄」、貯蔵する「貯蔵鉄」
・機能鉄は赤血球の「ヘモグロビン」と結合して、各細胞へ酸素を運ぶ
・鉄を含む色素タンパク質「ミオグロビン」が酸素を筋肉に蓄える
・貯蔵鉄は肝臓、骨髄、脾臓に分布し、機能鉄が不足したときに放出される
・毛髪、爪、皮膚にも組織鉄として存在する
・鉄の吸収には、銅、コバルト、マンガン、ビタミンCが必要
・無機鉄はビタミンEを破壊する
鉄の効果と摂取
・息切れを軽減する(酸素供給量をあげる)
・疲労を防ぎ、回復力を高める
・思考力をアップさせる
・病気に対する抵抗力を増進させる
・貧血の予防、皮膚の血色を良好にする
相性判断
(良)銅+コバルト+マンガン+ビタミンC ⇒鉄の吸収に不可欠
過剰摂取の症状・毒性など(過剰症)
ヘモシデローシスとモクロマトーシスの2種類がある、
ヘモシデローシスは肝臓や膵臓に滞留が起こり、進行すると肝硬変、糖尿病、青銅肌の発症をきたす。モクロマトーシスは過剰に吸収され、肝臓、膵臓、皮膚に沈着を起こる。心不全を起こすこともある。
不足の症状(欠乏症)
貧血を起こし、倦怠感、頭痛、食欲不振、口腔内粘膜損傷のよる疼痛や口内炎など、少量の鉛で鉛中毒を引き起こす。
推奨摂取量
・成人男性 7mg(1000mg=1g)
・成人女性 6mg(妊婦初期は8mg、中末期は21mg、授乳時は8.5mg)
鉄を多くむ食品(100g中)
あおのり(乾)75mg、ひじき(乾)55mg、きくらげ35mg、煮干し18mg、抹茶17mg、干しエビ15mg、純ココア14mg、豚レバー13mg、鶏レバー9mg、パセリ8mg、卵黄6mg、
ヨウ素(I)
ヨウ素の特徴と働き
・ヨードとも呼ばれ、多くは甲状腺にある
・甲状腺ホルモンの成分で、代謝のコントロールをサポート
・医師により特別の指示がない限り、サプリメントでの摂取は良くない
ヨウ素の効果と摂取
・より多くのエネルギーを代謝する
・余分な脂肪を燃焼させる
・新陳代謝の調整や成長期の発育促進
過剰摂取の症状・毒性など(過剰症)
2mg以上は危険、甲状腺肥大、甲状腺機能亢進症、心臓機能異常、頻脈、月経異常、精神異常、過剰サイロキシンによるバセドウ病など
不足の症状(欠乏症)
甲状腺腫、クレチン病、貧血、低血圧、肥満、感情の鈍化、エネルギー欠乏、乳ガン、
推奨摂取量
・成人男性 130μg(1000μg=1mg、1000mg=1g)*体内量13㎎ほど
・成人女性 130μg(妊婦は230μg、授乳婦は270μg)
ヨウ素を多くむ食品(100g中)
海草類に多く含まれる、その他パセリ1000μg、よもぎ890μg、アボカド720μg、納豆660μg、ユリ根690μg、里芋560μgなど
*キャベツはヨウ素の吸収を阻害する、大量にキャベツを食べる人は注意
マンガン(Mn)
マンガンの特徴と働き
・骨の形成に重要な役割をする
・甲状腺ホルモン(チロキシン)の合成に不可欠
・生殖や中枢神経が正常に機能するために重要な役割をする
・鉄はマンガンの吸収を阻害する
・マンガンの吸収率0.5-3%と低い
・細胞内のミトコンドリア内に存在する
・抗活性酸素物質SODの構成成分で、酸化ストレスの対抗に欠かせない
・コリンを作るのに必要、
マンガンの効果と摂取
・筋肉の筋伸展反射を助ける
・じん帯、骨、神経を強化する
・脳下垂体の機能を高め、記憶力を向上させる
・神経のイライラを緩和する
・疲労回復をサポートする
相性判断
(良)ビオチン、ビタミンB1、ビタミンC ⇒酵素に活性を与える
(悪)カルシウムやリン多量摂取 ⇒マンガンの吸収力低下
(悪)食物繊維やフチン酸 ⇒マンガンの吸収力低下
過剰摂取の症状・毒性など(過剰症)
血中コレステロールの上昇、神経症状、抵抗力の低下< /p>
不足の症状(欠乏症)
運動失調、平衡感覚不全、発育不全、代謝不良(糖、脂質、骨、皮膚など)、生殖器異常、血中脂肪酸の増加による動脈硬化リスク増大など
*肉や牛乳摂取が多い人は不足気味
推奨摂取量
・成人男性 4mg(1000mg=1g)
・成人女性 3.5mg< /p>
マンガンを多くむ食品(100g中)
緑茶葉55mg、あおさ17mg、あおのり(乾)13mg、きくらげ6mg、しょうが5mgなど
銅(Cu)
銅の特徴と働き
・鉄をヘモグロビンに転換するのに必要
・食後15分で血流に入る
・アミノ酸のチロシンを毛髪や肌の着色因子として働かせる
・ビタミンCを使うのに必要
・抗酸化酵素の中心的な役割
・皮膚や血管の結合組織の生成
銅の効果と摂取
・鉄の吸収を促進することで、鉄の効果を高める
相性判断
(良悪)亜鉛 ⇒銅の吸収を阻害する
過剰摂取の症状・毒性など(過剰症)
触媒性皮膚炎、発熱など
不足の症状(欠乏症)
動脈硬化、浮腫み、心血管障害、皮膚疾患、骨粗鬆症、毛髪の脱色、慢性関節リュウマチなど
推奨摂取量<
・成人男性 0.8mg(1000mg=1g)
・成人女性 0.7mg(妊婦0.8mg、授乳婦1.3mg)
銅を多くむ食品(100g中)
牛レバー5.3mg、しゃこ3.5mg、干しエビ5.2mg、純ココア3.8mg、ホタルイカ3.4mg、桜えび2mg、うなぎ1.1mg、豚レバー1mg、ごま1.7mgなど
コバルト(Co)
コバルトの特徴と働き
・ビタミンB12を構成するミネラル
・赤血球細胞(ヘモグロビン)の合成に不可欠
コバルトの効果と摂取
・貧血を防ぐ
過剰摂取の症状・毒性など(過剰症)
肺水腫、肺線維症、心臓病、甲状腺異常など
不足の症状(欠乏症)
コバルト単体ではないが、ビタミンB12の欠乏と重なる
推奨摂取量
・成人男性 2.4μg(1000μg=1mg、1000mg=1g)
・成人女性 2.4μg(妊婦2.8μg、授乳婦3.2μg)
コバルトを多くむ食品(100g中)
しじみ62μg、赤貝60μg、すじこ54μg、牛レバー53μg、あさり52μg、北寄貝48μg、いくら47μg、焼き海苔58μg、青のり32μg、かつお節15μgなど
亜鉛(Zn)
亜鉛の特徴と働き
・酵素システムの指揮・監督・調整を行う
・200種類以上の酵素の構成成分で酵素反応を活性化する
・ホルモンの合成や調整、免疫機能の調整をする
・核酸(DNA)、タンパク質やコラーゲンの形成に不可欠
・インスリンの形成を助ける
・血液の状態の安定、体内の酸性―アルカリ性の調整
・前立腺機能の正常化、生殖器官の発達や性ホルモンの分泌維持
・タンパク質などの高分子と結合して存在
・毛髪、肝臓、腎臓に多く存在する
・食品加工の段階で多くが失われる
・栄養不足の土壌の作物からはあまり得られない
・糖尿病やアルコール中毒者は不足気味
亜鉛の効果と摂取
・内傷や外傷の治りを早くする
・味覚を繊細にする(味覚障害の改善)
・爪の白い斑点を消す
・成長を促し、精神の鋭敏さを育てる
・不妊や精神障害の治療をサポート
・風の症状を和らげるなど
相性判断
(良)+マンガン+リン脂質 ⇒認知症の予防
(良)ビタミンA+カルシウム+リン ⇒最も活躍する
(良)ビタミンB6 ⇒インポテンツの改善
(悪)豆に含まれるフェチン酸 ⇒亜鉛と結びつき吸収を阻害する
過剰摂取の症状・毒性など(過剰症)
胃腸の炎症、免疫機能の低下、銅の欠乏、善玉コレステロールの低下、1000mg以上で毒性
不足の症状(欠乏症)
味覚障害、皮膚炎、食欲不振、前立腺肥大、動脈硬化、性機能の低下、創傷治癒の遅れ
推奨摂取量
・成人男性 10mg(1000mg=1g)
・成人女性 8mg
亜鉛を多くむ食品(100g中)
カキ13mg、パプリカ10mg、パルメザンチーズ7mg、豚レバー7mg、胡麻6mg、牛ロース5mg、そら豆5mg、卵黄4mg、ビール酵母など
モリブデン(Mo)
◇特徴と働き
・炭水化物と脂質の代謝をサポートする
・鉄を使うのに必要な酵素の構成成分
(キサンチンオキシターゼ、アルデヒドオキシターゼ、亜硫酸オキシターゼ)
◇モリブデンの効果
・貧血を予防する
・健康全般の促進
◇相性判断
(良)銅とのバランスが重要 ⇒糖質、脂質の代謝に影響 < /p>
◇過剰摂取の症状・毒性など(過剰症)
稀に尿酸値が痛風レベルに、関節痛の症状がでることもある
◇不足の症状(欠乏症)
通常の場合、欠乏症の報告はされていない
◇推奨摂取量< /h4>
・成人男性 25μg(1000mg=1g)
・成人女性 25μg(授乳婦28μg)
◇モリブデンを多くむ食品(100g中)
豆類に多く含まれる
クロム(Cr)
クロムの特徴と働き
・インスリンと一緒に糖の代謝を行う
・タンパク質を必要なところに運搬するサポート
・コレステロール値を下げる
・HDLコレステロール(善玉)値を上げる
クロムの効果と摂取
・糖の枯渇とエネルギーの突然の落ち込みを防ぐ
・高血圧を予防するとともに、血圧を調整する
・糖尿病の予防
相性判断
(良)インスリン ⇒インスリンの作用を強化
過剰摂取の症状・毒性など(過剰症)
毒性も低く一般的にはないが、長期にわたり過剰摂取した場合、腹痛、肝障害、造血障害、中枢神経障害、生殖機能障害の可能性がある
不足の症状(欠乏症)
動脈硬化、糖尿病、生殖能力の低下、寿命の低下があげられる
推奨摂取量
・成人男性 40μg(1000μg=1mg、1000mg=1g)
・成人女性 30μg
クロムを多くむ食品(100g中)
干しひじき270μg、乾燥わかめ100μg、マイワシ丸干し76μg、アナゴ48μg、あさり45μg、ベーコン39μg、ボンレスハム38μg、ビール酵母など
セレン・セレニウム(Se)
セレン・セレニウムの特徴と働き
・ビタミンEやSODとのタッグで、力を発揮する
・男性は睾丸、前立腺、精管、精子内に多く存在する
・毒性が強いので摂取には注意が必要
・すべての細胞内にある抗酸化物質の合成に関わる
(グルタチオンペルオキシターゼ)
・ガン細胞の増殖抑制機能
・精子の形態維持
・重金属毒性の軽減
セレンの効果と摂取
・細胞の若々しい柔軟性を維持する
・強い抗酸化力を発揮して、様々なガンのから細胞を守る
・心臓病や脳卒中リスクの軽減
相性判断
(良)ビタミンEやSOD ⇒協働して最高の抗酸化力を発揮
*SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)
過剰摂取の症状・毒性など(過剰症)
毒性が強い、慢性的に過剰摂取すると、爪の変形や脱落、脱毛、胃腸障害、疲労感、焦燥感、皮膚障害、神経障害、心筋梗塞、急性呼吸困難、腎不全など< /p>
不足の症状(欠乏症)
カシンーベック病(変形性骨軟骨関節痛)で、心肥大、心筋壊死、繊維化で死亡率が高い
推奨摂取量
・成人男性 30μg(1000μg=1mg、1000mg=1g)
・成人女性 25μg(妊婦30μg、授乳婦45μg)
セレンを多くむ食品(100g中)
肉類1~1.9μg、小麦1~8μg、魚介類0.2~1.0μg、鶏卵0.2~9.5μg、海草類0~0.02μg、キノコ類0.03~0.09μg、葉野菜類0~0.01μg、牛乳0.03~1.30μgなど
管理栄養士のコメント
ミネラルは心身の健康に欠かせない重要な基礎栄養素です。しかしきちんと摂取することを意識できている人は少ないようです。記事にあるようにミネラルはビタミンを含む他の栄養素と共に働きます。
例えば「貧血症状」では「鉄分不足」を心配して、鉄の摂取を意識される方がいます。しかし「鉄」単体より「ビタミンC」と併せて摂取した方が吸収は良くなります。また「葉酸」「ビタミンB12」をはじめとする「ビタミンB群」や、「ビタミンC」「亜鉛」「銅」などが不足することで貧血症状になることがあります。そのため一概に鉄だけを摂取すれば症状が改善するというわけではありません。
またミネラルの多くは、過剰摂取で健康被害が起こることがあります。健康に良いと言われる食品でも、そればかりを毎日多量に食べ続けたことでの、栄養素の過剰摂取による健康被害が報告されています。
テレビ番組などで「これを食べればいい!」というような健康法が注目を集めています。しかし単一の食品に含まれる栄養素はやはり偏りがあると考えましょう。健康のためには、様々な食材、特に旬の食材を日々の食卓に並べることを意識されると良いと思います。
管理栄養士 山本亜由美
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「ミネラルの種類と効果【管理栄養士 監修】」に対する4件のコメント