「持久力」が勝敗を決することは多いですよね!
持久力を高めるには、持久力筋を鍛えるトレーニング法が必要です。持久力筋とは遅筋(ちきん)または赤筋(あかきん)ともいわれ、疲れづらく長時間、動かし続けられる筋肉のことです。
その遅筋を鍛えるには2つの大切なポイントがあります。
目次
筋肉2つの種類
筋肉にはいくつかの種類があることをご存知ですよね!筋肉の繊維である筋線維は、速筋(白筋)と遅筋(赤筋)の2つに大別されます。さらに速筋は5種類に、遅筋は2種類の計7種類に分けられます。
遅筋と速筋の特徴の違い
遅筋と速筋は、それぞれ正反対の特徴があります。「速筋」は収縮速度が速く、大きな瞬発力を発揮します。しかしスタミナがなく、すぐに疲れてしまいます。一方「遅筋」は収縮速度が遅く力も小さいのですが、スタミナがあり持久力に長けています。速筋が短距離走系で遅筋が長距離走系の違いですね!
速筋を鍛えて瞬発力を高める方法は「瞬発力トレーニングで効果アップ-速筋の鍛え方6つの法則」でご紹介しています。
この2つの筋肉の割合は、ほぼ場合50対50といわれています。その割合は先天的なものとされていますが、トレーニング次第で優位性が変わります。スポーツの種目によって、よく使う筋肉の特性を鍛えることで、筋肉の機能性が高められます。
遅筋と速筋のイメージ
遅筋型アスリートと速筋型アスリートをイメージすると分かりやすいと思います。遅筋の代表選手は高橋尚子さん(Qちゃん)や野口みずきさんなどのマラソン選手です。体も小さく細いですよね!
一方、レスリングの吉田沙保里選手や伊調馨選手などは、ガッチリとした白筋系の身体をしています。全員オリンピックの金メダリストです。
遅筋を鍛える2つの法則
長距離型・長時間型の持久力筋を鍛えるには、重要なポイント(法則)が2つあります。間違えたトレーニングをすると、反対に持久力筋の低下をまねきます。
遅筋を鍛える2つのポイント
1つ目のポイントが「トレーニングの質」です。持久力トレーニングの具体的な方法は、下記の「持久力を高めるトレーニング」でご紹介します。
もう1つのポイントが「持久力をつける食事」です。トレーニングの半分は食事といっても過言ではありません。食事の内容によって、持久力は大きく変わります。詳しくは下記の「持久力を高める栄養成分」でご紹介します。
遅筋の特徴とは?
遅筋は「赤筋」ともいわれるように、実際に赤い色をしています。それはミオグロビンやチトクロームという赤色のタンパク質を多く含んでいるからです。マグロなどの赤身と同じで、酸素を運ぶためのヘモグロビンが多いため赤くなります。
つまり脂肪エネルギーを燃焼させる有酸素運動が得意で、筋持久力を発揮する筋肉ということがいえます。そのことからマラソンやジョギング、水泳や自転車などの長時間系競技の筋線維になります。
持久力を高めるトレーニング
持久力トレーニングを鍛える目的は次のようなものがあります。
●どれだけ走っても疲れない体にしたい
●後半になってもバテないディフェンダーになりたい
●安定したパフォーマンスを持続したい
●ダイエットを成功させ太らない体にしたい
●内臓筋を丈夫にして病気になりにくくしたい
●いつまでも現役を続けたい
遅筋を鍛えるポイント
持久力を高めるには、遅筋の鍛えるトレーニングを行います。基本は息をしながらゆっくりと、時間をかけて行うのがポイントです。
軽い負荷で、回数が多いトレーニングが有効です。負荷のレベルは20~50%RMで、限界になるまで反復するのが持久力筋(遅筋または白筋)を鍛えるトレーニング方法です。
RMとは、一回で持ち上げられる最大負荷を100%として、その20~50%という意味です。この場合、数百回~数千回の反復をすることができます。ポイントは限界になるまで続けることです。
持久力を鍛えるRMの詳しい説明は「効率的に持久力を鍛える筋トレRMの最大反復回数」で行っています。興味のある方は、一度のぞいてみてください!
また持久力系トレーニングによって、心拍数や呼吸も安定して息切れしにくくなります。直接トレーニングした筋肉だけでなく、カラダ全体の持久力が高まります。
持久力を低下させるトレーニング
持久力を低下させる3つの要素があります。①高負荷 ②栄養不足 ③トレーニング頻度です。
筋トレを無酸素かつ高負荷で行うトレーニングは、速筋が優位になり遅筋力が低下する傾向にあります。またトレーニングを行っても、栄養成分が不足していると持久力を支える筋力が低下します。食事もとレーニングの一部と捉えてください。
さらに、トレーニングのやり過ぎも持久力を低下させます。1週間で3~4回に留めておきましょう。それ以上トレーニングをすると、筋肉の疲れがとれず超回復を行われないため、遅筋力の低下をまねきます。トレーニングの間隔は48~72時間が空けたいものです。
筋肥大するトレーニング頻度をお知りになりたい方は「筋医大する筋トレ頻度!筋減少する筋トレ頻度!」でご紹介しています。
持久力を高める栄養成分
持久力を高めるための栄養成分は、大きく4つに分けることができます。
①筋肉をつくるタンパク質
②脂肪を燃焼させるビタミン類
③筋肉の疲れを軽減する抗酸化物質
④エネルギー源の炭水化物
筋肉を動かす栄養である炭水化物(糖質)のとり方は、本番までの時間で変わります。試合や大会などが近い場合は、カーボ・ローディングなどのグリコーゲンを多く蓄える方法もありますが、ここでは日常的に持久力を高める栄養成分についてご紹介します。
体内にグリコーゲンを最大限取り込むカーボ・ローディングは「カーボローディングの食事で失敗する人!成功する人!」でご紹介しています。
筋肉の源「肉と魚」
筋肉の量と質は、トレーニングと食事のコラボレーションの結果です。
持久力筋を鍛えるには、脂肪の少ない鶏のササミ肉やムネ肉がオススメです。また脂肪分の少ない豚ヒレ肉は、ビタミンB群などが多い食材なので適度に食べたいものです。
しかし筋肉を意識するばかりに、肉ばかりを食べる傾向があります。1日一度は魚介類も口にしてください。
魚介類には、成長ホルモンやクレアチンの原料になるアルギニンを多く含むものがあります。特に貝類はアルギニンの含有量が多いことで有名です。
さらに後述しますが、タンパク質の代謝には、ミネラルやビタミンが必須なので、魚介類は重要な供給源になります。筋肉をつける食事については「筋トレ効果を高める食事の基本で大切な5つのこと!」で詳しくご紹介しています。
脂肪燃焼を高める「ビタミン」
意外と軽視されがちなのが、ビタミンやミネラル類です。もっとも持久力に必要な栄養成分に優先順位をつけるとすると、1位がミネラル、2位がビタミンというくらい重要な栄養です。
糖質や脂質、タンパク質と比べて微量な存在ですが、それらを代謝させ筋肉やエネルギーに変換するには、ミネラルとビタミンはなくてはならいない成分です。特にビタミンB群は代謝に直接影響する栄養成分です。
食品としては、ビタミンB群を多く含むのが豚肉系やウナギ、大豆などです。ミネラルやビタミンを多く含むのが野菜や海藻類ですね!最低でも、タンパク質量と同じぐらいの野菜類は摂りたいものです。
疲労を軽減する「抗酸化物質」
持久力は、エネルギー代謝と疲労物質除去との戦いですよね。この2つは相関関係にあり、エネルギー代謝が増えると疲労物質の発生も増加します。遅筋を酷使するスポーツにおいては、この疲労物質の除去が持久力に大きく関わります。
疲労物質と乳酸
疲れ物質は、エネルギー代謝に比例して発生します。エネルギー代謝の過程で乳酸が発生することは有名です。乳酸は疲労物質ではありませんが、疲れ発生の目安として用いられることがあります。疲労物質は、疲労因子FF(ファティーグ・ファクター)やFR(ファティグ・リカバリー・ファクター)といわれるタンパク質や水素イオンといわれています。
また有酸素運動では、大量の活性酸素が発生します。本来、活性酸素は、外部から侵入した菌やウィルスを攻撃して体を守るのが役目です。しかし大量に発生すると、体を酸化させ運動力を低下させます。また細胞内のDNA(遺伝子)に大きなダメージを与えることで、中長期的に筋肉の機能性を損なう恐れがあります。持久力を発揮するには、抗酸化物質を活用して、活性酸素を軽減することが求められます。
活性酸素を除去する抗酸化物質
抗酸化物質とは、活性酸素(フリーラジカル、過酸化水素、スーパーオキシドアニオン、ヒドロキシラジカルなど)を無害化する成分のことで、ビタミンC(アスコルビン酸)やビタミンE、ポリフェノール類、フラボノイド類、カロテン類、酵素類など様々な種類があります。
それぞれ特徴があるので、どれが優れているとも言えませんが、食品を選ぶポイントをお伝えします。
運動中にとりたいもの
「ビタミンC」は即効性と強い抗酸化力があります。しかし体内に数時間しか留まることができないので、運動中にこまめにとることをオススメします。基本はドリンク剤になるでしょうね!
毎食事でとりいれたいのも
色の濃い野菜や果物類がポイントです。ブドウなどのベリー系やお茶などは、紫外線から守るために、多くの「ポリフェノール類」を多く含みます。
またβカロテン(カロチン)を多く含むものに、しそ、モロヘイヤ、人参、パセリがあります。
ビタミンCやEを多く含む食品
ビタミンCを多く含む食品
ビタミンCの多い食品ベストランキング(水分量混合/食品100ℊあたり 単位㎎) | |||||
茶葉(煎茶) | 260 | ピーマン | 76 | 水菜 | 55 |
焼きのり | 210 | ゴーヤ | 76 | ブロッコリー | 54 |
味付け海苔 | 200 | めんたいこ | 76 | カリフラワー | 53 |
赤ピーマン | 170 | 柿 | 70 | レモン(果汁) | 50 |
黄ピーマン | 150 | キウイフルーツ | 69 | パパイヤ | 50 |
ゆず(果皮) | 150 | レッドキャベツ | 68 | ロースハム | 50 |
アセロラ | 120 | モロヘイヤ | 65 | ベーコン | 50 |
レモン(全果) | 100 | イチゴ | 62 | 株葉ぬか漬け | 49 |
ケール | 81 | ししとう | 57 | カイワレ大根 | 47 |
ビタミンEを多く含む食品
ビタミンEの多い食品ベストランキング(水分量混合/食品100gあたり 単位mg) | |||||
茶葉(煎茶) | 64.9 | すじこ | 10.6 | うなぎ蒲焼 | 4.9 |
とうがらし | 29.8 | キャビア | 9.3 | ダイコン菜 | 4.9 |
アーモンド | 29.4 | いくら | 9.1 | かぼちゃ | 4.7 |
抹茶 | 28.1 | あゆ | 8.2 | とんぶり | 4.6 |
サフラワー油 | 27.1 | いわし(油漬) | 8.2 | 真鯛(焼) | 4.5 |
とうもろこし油 | 17.1 | たらこ(焼) | 8.1 | ホタルイカ(生) | 4.3 |
なたね油 | 15.2 | たらこ(生) | 7.1 | 水煮子持ちカレイ | 4.2 |
マーガリン | 15.1 | めんたいこ | 6.5 | はまち(生) | 4.1 |
あんきも | 13.8 | モロヘイヤ | 6.5 | 株葉のぬか漬け | 4.0 |
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