スポーツは腰痛との戦いでもあり、もっとも厄介なスポーツ障害の1つです。腰のコンディションは、走る、投げる、飛ぶ、打つなどあらゆる動作に影響を与えます。
腰痛には様々な原因がありますが、原因が特定できるのは、わずか15%程度。しかし腰痛の原因を特定しなければ、適切な治療は行えません。
まずはあなたの腰痛の原因を特定することが先決です。
目次
腰痛5つの原因
腰痛の原因は、5つに分類することができます。その中でも①②がスポーツや日常的な動作で発生しやすい腰痛です。複数の原因が絡むことも多く、治療が長期化して慢性化しやすくなります。
①筋肉の障害による腰痛
②骨や軟骨による障害
③神経障害による腰痛
④内臓の病気による腰痛
⑤精神的ストレスによる腰痛
①筋肉や筋膜の障害による腰痛
筋肉の障害による腰痛原因
筋肉の障害による腰痛は「腰痛症」に属します。その原因は3つに分けられます。この3つの腰痛症には「急性腰痛症」のものと「慢性腰痛症」のものがあります。
1、無理な動作や不自然な姿勢による「間違った使い方」
2、運動不足や加齢による「筋力低下」
3、腰の使い過ぎによる「筋肉疲労」
『急性腰痛症』は、腰をひねったり、重い物を持ち上げたときに起こることが多く、筋・筋膜性腰痛、椎間板性腰痛、神経痛をともなう腰痛(椎間板ヘルニア)、仙腸関節性腰痛、椎間関節性腰痛、圧迫骨折などがあげられます。
『慢性腰痛症』は、腰痛が3カ月以上継続するものの総称で、悪い姿勢や間違った歩き方などの生活習慣からの筋肉疲労、椎間板や椎体の変性などが原因とされます。
スポーツ選手に多い「筋・筋膜性腰痛症」は、筋肉の使い過ぎから起こります。ジャンプやスイングなど、腰に大きな負担がかかる動作をくり返すことで、筋肉が疲労し、筋膜や筋肉が損傷して起こります。「腰椎の捻挫」や「肉ばなれ」とも呼ばれます。
腰痛の症状や痛みの特徴
筋肉の障害によって起こる腰痛は、原因によって症状や痛み方が違います。全体の特徴としては、ある特定の動作をしたときに痛みを感じ、安静時にはあまり痛みません。
急性腰痛症
特定の動作をすると激痛が起こり体動困難となります。腰の可動域が狭くなり、前後左右に腰を曲げることが制限されます。またお尻や下肢に坐骨神経痛のようなしびれや痛みをともなうこともあります。
慢性腰痛症
急性腰痛症のような激痛は少なくなりますが、腰全体がだるさや痛みがあります。特定の動作をしたり押したりすると、強い痛みをあるのが特徴です。しびれや麻痺をともなうこともあります。
>>> 慢性腰痛を改善する「腰痛を治す歩き方!腰痛が悪化する歩き方!」
筋・筋膜性腰痛症
背中が張ったり、背骨の筋肉に沿って痛みがあります。特に筋肉を伸ばすと痛みが激しくなります。
②骨や軟骨の障害による腰痛
骨の障害による腰痛は、大きく2つに分けられます。
1、脊椎のゆがみ、腰椎の異常により引き起こされる腰痛
2、椎間板の異常により起こる腰痛
脊椎のゆがみ・腰椎の異常による腰痛
脊椎(背骨)は、バランスをとる重要な器官で、側面からみると緩やかなS字カーブを描いています。しかし悪い姿勢や間違った動作(歩き方や走り方など)、筋力の低下や疲労が蓄積すると、S字カーブに歪みが生じます。
脊椎の歪みによるバランスの崩れを防ぐため、周辺部位に負担がかかります。特に第4・第5腰椎は脊椎の中でも負荷がかかりやすく、障害が起こりやすいとされています。
脊椎や腰椎の異常による腰痛には、「腰痛症」と「腰椎分離症」があります。腰椎分離症とは、発育期に腰椎にヒビが入り脊椎が不安定になることで、腰の疲れや痛みの症状を引き起こす病気です。発症の多くは、激しいスポーツによるものとされています。
椎間板の異常により起こる腰痛
脊椎は約30個の「椎骨」とクッション材の「椎間板」が交互に積み重なって構成されています。椎間板は繊維状の軟骨で、内部にゼラチン状の「髄核」と、それを取り囲むコラーゲン線維の「線維輪」で構成されています。
椎間板の役割は、弾力性によって腰椎にかかる衝撃を吸収することです。その椎間板の異常による腰痛は4つです。
1、腰椎椎間板ヘルニア
椎間板を取り囲む「線維輪」に亀裂が生じることで、線維輪内にある髄核(ずいかく)が外に飛び出し、これが神経を圧迫することで痛みが発生します。
2、変形性脊椎症
老化による椎間板の変性、筋力低下による脊椎の不安定により「骨棘」(こっきょく)と呼ばれるトゲのようなものができ神経を刺激します。また靭帯が固くなるので腰椎の可動性も低下します。
3、腰椎変性すべり症
老化による椎間板の弾力性や柔軟性の低下で椎間関節がすり減り、腰椎が前にズレることがあります。このズレが大きいと、脊柱管が狭くなり神経が圧迫されます。それにより腰痛が発生します。
4、シュモール結節、椎体辺縁分離
激しいスポーツなどで腰への負担がくり返されると、椎間板の中心にある髄核が上下に突き抜け、腰痛を引き起こします。髄核が椎骨の中心部に突き抜けた状態を「シュモール結節」、椎骨の周辺に飛び出した状態を「椎体辺縁分離」といいます。
③神経の障害
腰椎の内側は空洞になっていて、そこに多くの中枢神経が通っています。その中枢神経から無数の細い神経が枝分かれして、内臓や手足の筋肉まで伸びています。
その神経が圧迫されたり損傷したりすると、下半身に痛みやしびれが発生します。椎間板ヘルニアや脊椎管狭窄症などによる坐骨神経痛の痛みが有名です。
④内臓の疾患
内臓疾患の症状としての腰痛があります。胃、肝臓、腎臓、子宮、前立腺、膀胱などの病気の症状です。疾患により痛みが腰まで届いたり、腰の近くで発症したりすることで腰痛を引き起こします。
整形外科では診断が難しく、発見が遅れることがあります。そのため「安静状態でも痛みがある」「腰痛以外の症状がある」「徐々に痛みが悪化している」などの場合は、内科医に相談してください。
⑤精神的ストレス
近年注目されているのが「ストレス腰痛」です。心因性腰痛症といわれ、ストレス、不安症、うつ病などの精神的または心理的要因として発生します。それらが自律神経に異常を起こし、痛みをつくり出したり増幅させたりします。また不安などにより、過去の痛みを再現することもあります。
特徴として「痛み方や場所が変わる」「思いあたる原因がない」「検査しても異常がない」「慢性化する」などがあり、根本的な原因が解消されない限り、治らない腰痛です。
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