「圧迫骨折」は文字通り、背骨が圧迫されることで起こる骨折です。若い人がスポーツ中になることは稀で、ほとんどは骨粗鬆症や骨形成不全などの病気に関係しています。
しかし一度圧迫骨折をすると、悪化の一途をたどるので、中高年の方は、しっかりと予防をすることが大切です。
まずは圧迫骨折の種類や症状をみてみましょう。
圧迫骨折とは?
圧迫骨折は、外圧によって椎骨(ついこつ:背骨のこと)が潰れることで起こります。多くは、背骨の骨密度が低下することで原因です。 その理由の多くが「骨粗鬆症」ですが、その他にも「骨腫瘍」「骨軟化症」「腎性骨異栄養症」などの病気により、圧迫骨折のリスクが高まります。
圧迫骨折の患者数は年間90万人ほどで、再発率が高いのが特徴です。ほとんどがくしゃみや腰をひねる、尻もちなどの軽い外圧によって起こっているため、日常生活にも支障がでてきます。
圧迫骨折の種類
圧迫骨折とは「脊椎圧迫骨折」(せきついあっぱくこっせつ)のことで、背骨が押しつぶされる、またはひねって割れる感じです。代表的な脊椎圧迫骨折は2種類あります。
「腰椎圧迫骨折」と「胸椎圧迫骨折」です。その他「頸椎圧迫骨折」「尾椎圧迫骨折」もあります。
「腰椎圧迫骨折」とは?
腰椎圧迫骨折は(ようついあっぱくこっせつ)は、約30コある椎骨のうちの腰椎部分(5コ)のどれかが、圧迫されてできた骨折です。多い症状は「激痛」ですが、安静にしていれば痛みはやわらぎます。また骨折した骨の破片が神経を圧迫して、下半身にしびれや麻痺を引き起こすこともあります。
いずれも歩くことはもちろん、寝返りをすることもできません。そのため運動不足になり、筋力が極端に低下、寝たきりになることも多い骨折です。認知症や失禁(尿便)などの合併症も心配されます。
腰椎圧迫骨折の予防方法は「腰椎圧迫骨折の後遺症と予防」でご紹介しています。
「胸椎圧迫骨折」とは?
胸椎圧迫骨折(きょうついあっぱくこっせつ)は、胸の後側にある12コの椎骨のどれかが、圧迫されることで骨折するものです。 胸椎圧迫骨折は、激しい痛みを発生させるため、ほぼ寝たきりの状態になります。また潰れた骨や破片が神経を刺激して、下半身にシビレや麻痺を起こすこともあります。
胸椎圧迫骨折の予防方法は「胸椎圧迫骨折の後遺症と予防」でご紹介しています。
圧迫骨折2つの治療法!
圧迫骨折の治療方法は「保存療法」と「手術療法」の2種類です。保存療法はコルセットや鎮痛剤を投与して痛みを和らげる治療法で、手術療法は骨折した部分をセメントや金属で支える外科手術です。
圧迫骨折の基本「保存療法」
圧迫骨折が確認されたら、まずは保存療法をするのが一般的です。コルセットを装着して、非ステロイド消炎鎮痛剤や血行改善薬などの薬物療法を行っていきます。治療法の基本は、とにかく安静です。
対処療法的な「手術療法」
圧迫骨折の手術は、数ヶ月経っても治らない場合や、変形がある場合に検討されます。手術療法には、いくつかの種類があります。保険が使えるものと使えないものがありますので、医師に確認しましょう。また高度なテクニックが必要なものが多く、医師の熟練度によっても出来る手術が限られます。
「経皮的椎体形成術」は、骨折部をセメントで固めてしまう療法と、バルーン(風船)を使って変形した部分を元に戻す「バルーン椎体形成術」があります。(BKP、PVP)
「後方侵入椎体固定術」は3椎以上の圧迫骨折に用いられる手術法で、椎間板を摘出してケージという人工物を入れる手術です。(TLIF、LIF)
「低侵襲腰椎前方固定術(XLIF)」は、脇腹を切開して椎間板を取り換える手術療法で、神経症状の改善に効果的です。傷が小さく患者さんの負担も小さいのですが、高度な技術が必要なため、日本でこの手術を行っている病院は少ないのが現状です。
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