気づけば「疲労骨折だった!」なんてこともあります。転倒やぶつけた記憶もないのに。なぜ?
疲労骨折は「同じ部分」に「弱い力」が「何度も加わる」ことで起こります。シューズのひもを強く結んでいるだけでも、足の甲が疲労骨折することがあります。疲労骨折になりやすい人、なりにくい人がいますが、その違いは?疲労骨折の本当の原因から、復帰を早める方法をご紹介します。
目次
疲労骨折とは?
疲労骨折とは、骨の同一部分に、外力が繰り返し加わることで起こる骨折です。一度にかかる力は強くなくても、何度も続けて力が加わると、金属疲労のようにその部分がモロくなっていきます。
短期的な集中トレーニングで起こることが多く、軽度では細かいヒビが入り重度では完全断裂します。疲労骨折は早期発見と早期治療が大切です。治療開始が1日遅れると、復帰までにその何倍もかかります。
疲労骨折の症状は、初期段階において軽度であることが多く、ついつい無理をして悪化させることも少なくありません。しっかりと対策をすれば、予防や早期復帰も可能です。
疲労骨折の原因とは?
継続的にスポーツをする方は、疲労骨折のリスクを考慮しなくてはなりません。特に激しい運動や集中的トレーニングにおいては、骨疲労の修復が追いつかず、低タンパク質状態や骨密度(骨重量)が低下します。ここでは疲労骨折の原因を、①外圧、②生理学的、③女性や高齢者、の3つに分けて説明します。
①外圧による疲労骨折の原因
スポーツをすることで、様々な外圧を受けます。その圧力が一部分の骨に集中することで、金属疲労のような状態になります。
- 継続的な負荷(跳躍や長時間の疾走など)
- 筋力不足での無理な動きの反復
- 未熟な技術による不適切な動きの反復
- 体の柔軟性不足による負荷の集中
- 靴などの用具の締め付けすぎ
- 靴などの用具の衝撃吸収性の不足
②生理的な疲労骨折の原因
激しい運動は、タンパク質を破壊してエネルギー化します。激しい運動では筋タンパク質の他に、骨タンパク質も分解されます。このダメージを回復する前に、激しい運動を繰り返すと、骨疲労の蓄積(骨負債)が発生します。その結果カルシウムが流出し、骨密度減少と疲労骨折のリスクが高まります。
③女性に多い疲労骨折の原因
女性特有の原因によっても、骨密度が低下します。疲労骨折はその1症状として現れることがあります。その原因は「無月経」 「摂食障害」 「骨粗鬆症」の3つです。
その中で部活や女子アスリートによくある原因は「無月経」「摂食障害」です。激しい運動でホルモンのバランスが崩れやすくなり、タンパク質の代謝が低下しカルシウムが流出、骨密度が低下すると思われます。それらの症状がでた場合は、ホルモンのバランスが崩れているので、思い切って休養することが大切です。
疲労骨折を起こしやすいスポーツは?
様々なスポーツで疲労骨折は起こります。特に多いスポーツが跳躍系の体操、長距離陸上走、バレーボール、バスケットボール、サッカー、野球が上位を占めます。
またスポーツの種目によって、疲労骨折しやすい部位は変わります。もっとも発生しやすいのが、中足骨、脛骨、腓骨、肋骨などで、負荷が集中する下肢に多く起こります。そのほか大腿骨や膝蓋骨(ヒザの皿)、骨盤や踵骨(かかと)があります。
疲労骨折の症状と治療
初期症状で違和感を発見!
疲労骨折の初期症状は、運動で患部に負荷がかかるとき痛みます。運動をやめると痛みが治まります。外傷がなく腫れないケースもあるため、そのまま運動を継続して症状を悪化させることがあります。
疲労骨折の症状は、運動を継続することでドンドン悪化していきます。この時点で適切な治療ができると、1ヶ月ほどで復帰することができますが、治療開始が遅れると治療期間が何倍もかかります。
症状が悪化すると、運動中だけではなく、安静時でも痛みが起こります。腫れあがったり、硬いものが隆起したりすることもあります。とくかく違和感を感じたときは、すぐに止める勇気も必要です。
疲労骨折の治療
通常は、ギブスや装具をつけず「安静」にして「栄養療法」が中心になります。完治期間(治療期間)は3週間~12週間を要します。そして疲労骨折の原因の排除と改善が必要になります。
完全に骨折している場合は、通常の「骨折治療」と「栄養療法」が必要です。大腿骨や頸椎が疲労骨折した場合は、外科手術の検討が必要になります。
筋力低下の防止
治療期間中や休養中は、筋力の低下が気になります。筋力低下を防ぐことができれば、完治後の復帰も早まります。また運動できずにイライラすることも少なくなるでしょう。「筋力低下抑制」と「筋肉合成促進」の効果が期待されている成分が『HMBカルシウム』です。現在多くのボディビルダーやプロのスポーツ選手が愛用している成分で、厚生労働省も高齢者の筋力低下抑制に推奨しています。
疲労骨折の原因のまとめ
疲労骨折の原因は、大きく分けて3つあります。
- 同じ部分に集中的に繰り返し負荷がかかる
- 骨疲労している部分の栄養が不足している
- 女性特有の問題
疲労骨折を早く治すには、早期発見・早期治療が大切です!違和感があれば、すぐに運動を中止して症状を確認してください。対応が遅れると、復帰までに無駄な時間を過ごすことになります。
疲労骨折が見つかった場合は、最低でも3~8週間の運動中止が必要です。その後に医師の指導のもと、徐々に運動を再開してください。ここで無理をすると、1ヶ月単位で治療期間が長くなるばかりか、日常生活にも支障をきたすことになります。まずは「安静」と「栄養療法」です。
▶▶▶ つづきを見る「疲労骨折の予防と早期回復のための栄養学」
管理栄養士のコメント
女性の疲労骨折の理由の一つに「栄養素の不足(偏り)」があります。「国民健康・栄養調査」の結果でも「女性は20〜50歳代でもやせ過ぎが課題」とされ、幅広い年齢層で栄養素の不足が懸念されています。
さらに10代前後の成長期でも、多くのビタミン・ミネラルの推奨量や目安量を摂取出来ていないことが報告されています。 例えば15-19歳女性では、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸、ビタミンC、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などの平均摂取量が食事摂取基準を満たしていません。
これらの栄養素が不足することで起きる不調は様々ですが、記事にあるように筋肉量や骨密度の低下もその一つに挙げられます。 痩せたいと食事を控えてしまったり、エネルギー量ばかりを意識して偏った食事になってしまうと、体の不調を引き起こす原因となります。
さらにスポーツをする場合には、通常よりもたくさんの栄養素が必要になります。パフォーマンスの向上だけでなく、怪我や不調を予防するためにも栄養素をきちんと摂取することをお勧めします。
監修:管理栄養士 山本亜由美
お返事ありがとうございます。
MRIの結果、3ヶ所の疲労骨折がありました。
お勧めのI型コラーゲンのファイバープロテインとビタミンCのサプリメントを教えてください。
よろしくお願いいたします。
はじめまして
ネットで調べていてこちらを拝見しました。
いくつかお尋ねさせてください。
娘中学3年生、15歳です。
3歳よりクラシックバレエをしています。
2/24金曜、朝から左足裏に違和感があり、扁平足の為3年程前に作成した靴の中敷きが痛く、学校で上靴の中敷きは取ったものの、登下校時の運動靴の中敷きはそのままで、帰りは足を引きづり帰宅しました。
本人が自分の症状を調べ足底筋膜炎と自己判断して、患部を温めバレエの練習はお休みしていました。
少しは痛みが引いた様ですが気になり、1週間後の3/3金曜に整形外科を受診しました。
レントゲンでは骨折は見えないものの、触診で疲労骨折であろうとの事でした。
MRI検査は、14日の予定です。
4月20日頃から バレエ留学が決まっている為、心配しています。
もしも第五中足骨の疲労骨折であれば、難治性とあり 不安です。
中学生になり怪我もありましたが、何とか完治して送り出してやりたいという思いです。
これまでの娘の足の特徴と怪我をお伝えします。 少なからず 関係があるのではないかと素人ながら思います。
扁平足の為、小学5〜6年生頃は 両足の土踏まずの痛みと腫れ、有痛性外脛骨。
腓骨の疲労骨折、膝下外側の上の方でした。 確か左脚だったと思います…
左足首に痛みと引っかかった感じで、床に座った状態でも爪先を伸ばせなくなる。
診断は、町母趾屈筋腱炎。
レントゲンの結果、三角骨あり。
治療しても余り効果がなく去年の夏痛み止めの注射を2回打ちました。
今は有痛性外脛骨と長母趾屈筋腱炎の痛みはありません。
長文になりましたが、早く痛みを取り除き不安をなくてやりたいと思います。
どうぞアドバイスを よろしくお願いいたします。
文章から推測すると、かなりの練習量をこなしているのではないでしょうか?
恐らく、練習量と回復のバランスが悪く、回復しないうちに次の練習をしているのではないでしょうか?
それにより、酷使する部分や回復が遅れている部分に疲労が蓄積して影響が出るものと思われます。
体は全体にしろ一部分にしろ、酷使することで疲労をきたします。疲労といってもその種類は様々で、この場合「骨」「腱」「靭帯」「軟骨」「筋肉繊維」「筋膜」「血管内壁」などのダメージだと思われます。
例えば、筋肉を酷使した場合、その回復には2~4日かかります。プロ野球の投手は、先発したあと中3~4日は最低空けます。またJリーグの試合は、なぜ1週間に1度かというと、やはり2~4日の回復期間が必要だからです。
ジュニアやユースの場合は、年齢的に回復力が早いため、連続的に無理な練習をしがちです。しかしその回復力には個人差が大きく、多くの子供たちがスポーツ障害を起こし離脱している事実もあります。
さて対策ですが、あくまでも一般論としてお話させていただきます。
薬や注射では治りません。炎症や痛みを一時的に抑えることはできても、根治することはできません。酷使したことでの障害を治すには、充分な回復期間と十二分な栄養摂取が基本になる考えられます。骨や靭帯などはすべて栄養からできています。再生や修復するには、その原料が大量に必要なのは当然と言えます。
その他にも入浴やマッサージも制限付きですが有効性が認められます。血流や回復物質を運搬する通り道ですので、血流をあげることで治りを早めることが可能です。鎮痛剤などは血管を収縮させるので、常用は避けるべきです。
栄養摂取についてですが、やはりⅠ型コラーゲンを1日5~10gとビタミンCを積極的に摂取することをお勧めします。酷使した部分は繊維タンパク質が極端に減少していることが考えられます。酷使により骨は土台を減少させ、カルシウムの流出を加速していることが推測されます。靭帯や腱、血管内壁や筋膜もⅠ型コラーゲンを中心としたファイバープロテインから構成されている繊維タンパク質です。これらは一般のタンパク質からは、なかなか再生できないため、ファイバープロテインをサプリメントから摂ることが理想です。食事からでは大量の脂質を取り入れることになるので、あまりお勧めしません。
その他、なるべく多くの野菜類から、ミネラルやビタミンを補給してください。栄養は他の栄養バランスによって、機能性が変わる傾向にあります。
ちなみに、骨折時に大量の牛乳を飲む方がいますが、これは逆効果になることが懸念されています。
血中カルシウム量は1%と決まっています。この量は多くても少なくても問題が発生します。多い場合は恒常性維持機能によって、カルシウムを吐き出し1%を維持しようとするのですが、急激に入ってくると急激に吐き出すため、1%を切ってしまいます。そのため骨を分解して血中カルシウム量を維持しようとします。結果的に骨密度は低下します。またカルシウムが血管内で石灰化する問題も指摘されます。さらにカルシウムを吸収するには「カルシウム2:マグネシウム1」が必要ですが、牛乳にはあまりマグネシウムが含まれていません。
などの理由から、カルシウムが一般食品からスロー吸収されるのが望ましく思われます。いずれにしろファイバープロテインが少ない状態では、骨、腱、靭帯、血管、筋膜などの回復が遅れることが間違いのない事実と考えられています。
1日でも早く、回復するといいですね!
Dr.MITCT様
お返事ありがとうございます。
MRI検査の結果、3ヶ所の疲労骨折があり、親子でかなりショックを受けました。
クラシックバレエを続けていく中で、体重管理が厳しくカロリーを抑えがちになります。
やはりご指摘の通り栄養不足、タンパク質やビタミン、ミネラルが不足している様ですね。
早急にお勧め頂いた、I型コラーゲンとビタミンCのサプリを取らせたいと思います。
お勧めのサプリメント名を教えて頂けますか?
他に ビタミン、ミネラルのサプリメントもありましたら教えてください。
よろしくお願いいたします。
それは大変ですね!
おすすめのⅠ型コラーゲンば「スポコラ・スピード3X」というゼリータイプがいいと思います。スポーツをする体をケアすることを目的に開発されていて、必要な栄養はカバーされています。Ⅰ型が約3gのほか、Ⅱ型とⅢ型、ビタミンC、グルコサミン、コンドロイチンも配合されています。私は平常時でも1~2包食べていますが、骨折時であれば1日2~3包ほど必要かと思います。
ビタミンやミネラルは、特におすすめはありませんが、必ず総合(マルチ)をとってください。これらはグループ全体で機能するので、単一ビタミンやミネラルをとっても効果が望めないばかりか、害になることもあります。総合をとったうえで、さらに必要なものを多めに摂取することがいいと思います。ビタミンミネラルを空腹時に摂取すると、吸収は早いのですが、早く体外に排出されてしまいますので、食後がいいと思います。。
またスポコラには、コラーゲンを体内で合成するときに必須なビタミンCを含んでいますが、抗酸化物質として、疲れている時など他に消費されることもあるので、別途摂取することをお勧めします。
疲労骨折は、頑張り過ぎた証でもあるので、落胆することなく栄養と休養をしっかりとることで、さらに飛躍してください。活躍できることを祈っております。