日本人の8割は鼻呼吸ができていない!といわれています。これはスポーツ科学的には、パーフォーマンスの低下、エネルギー代謝の低下、持久力の機能低下、疲労回復の遅れ、怪我の治癒の遅れ、判断力や集中力の低下につながります。医学的には免疫の低下、代謝の低下、病気の治癒の遅れなどが指摘されています。
口呼吸を鼻呼吸に変えるだけで、それらの機能を改善することができます。
鼻呼吸による機能改善!
本来「口」は呼吸器官ではありません。免疫機能、体温調整機能、空気循環システムは「鼻」が担っています。これらの機能は「口」には一切ありません。呼吸器ではない「口」から吸気することで、防衛機能が低下し、さまざまな問題を引き起こします。鼻呼吸に変えるのは、本来の機能を取り戻すいうことです。
鼻呼吸のメカニズムと改善方法は「口呼吸を鼻呼吸に改善!100円で今日からできる3つの方法」で掲載!
鼻呼吸7つの機能性
鼻呼吸には7つの代表的な機能があります。それが様々な効果を生み出しています。
1、除菌フィルター機能
鼻には除菌機能があります。細菌やウィスルなどの異物や病原菌を除去するために、鼻腔粘膜には無数の繊毛が生えています。15μmの大きさなら100%、5μmなら50%除去できます。
口呼吸ではこの機能が得られず、多くの免疫機能が働くことで、免疫力の低下を招きます。免疫機能の低下、怪我からの回復の遅れ、抵抗力の低下、病気の治癒の遅れなどにつながります。
2、温度を調整する機能
冷気を温めて肺に送る機能があります。外気が0℃でも肺に達するまでに36℃まで加温されます。寒気が肺に流れ込んで、肺や免疫機能の低下するこを防ぎます。また呼気を冷却して、熱エネルギーを温存します。
口呼吸にはこの機能がなく、吸い込んだ冷気はダイレクトに肺に送られます。低温化した肺の影響は、内臓や血液から全身に及びます。冷えた体は運動機能だけではなく、メンタルや回復力にも悪影響を与えます。
3、湿度を調整する機能
鼻には加湿機能があります。乾燥した吸気は、95%にまで加湿され肺に送られます。口呼吸ではこの機能がなく、ドライマウスや粘膜機能の低下の原因になります。
4、呼吸の循環機能
鼻呼吸で、呼吸の循環機能が高まります。口呼吸では横隔膜の動きが少なくなり、無意識的に呼吸が浅くなります。肺上部のみの浅い呼吸になることで、古い空気が肺下部に留まることになります。鼻呼吸に変えることで、横隔膜が連動して肺を押上げ、肺内部の空気循環がスムーズになります。
5、メンテナンス機能
鼻の機能性を維持するため、鼻呼吸器にはメンテナンス機能があります。なぜ鼻の穴は2つあるのでしょうか?鼻通りが良くても、必ずどちらかが鼻づまりをしています。それはメンテナンスのために粘膜を腫らして鼻水を流し洗浄しているのです。数時間おきに左右交互にメンテナンスしています。
6、内臓筋を強化する機能
鼻呼吸は内臓の筋肉を強化する機能があります。鼻呼吸は「軌道抵抗」といって、口呼吸よりも負荷がかかります。鼻呼吸を日常化することで、横隔膜筋の動きが内臓筋全体を鍛えます。横隔膜筋は体幹の中心筋肉でもあり、呼吸するだけで体幹のトレーニングにもつながります。
7、血中酸素濃度を高める機能
鼻呼吸で血中酸素濃度が高める機能があります。呼吸循環が高まることで、血中酸素濃度が高まります。ある検査では、口呼吸から鼻呼吸に変えることで、10~18%の血中酸素濃度が高まったと報告しています。血中酸素量の増加は、細胞の活性化をはじめ、持久力や疲労回復などの様々な機能向上と直結します。
「口呼吸」のデメリット
呼吸器ではない「口」で吸気することで、さまざまなデメリットがあります。鼻呼吸機能の逆効果で、主に下記のものがあります。
- 免疫の低下と疲労回復の遅れ
- ケガの治癒期間の長期化
- 肺活量や持久力の低下
- 体幹や内臓筋の低下
- 睡眠の質の低下と目覚めのだるさ
- ドライマウスと鼻づまりなど
アスリートのための「鼻呼吸」の効果
スポーツにおける鼻呼吸効果は、上記の6つの機能、特に下記の3つの要素によって、多くの効果を得ることができます。代表的な20の効果を掲載しています。
- 血中酸素量の増加によるもの
- 内臓筋肉の活性化によるもの
- 免疫機能の向上によるもの
鼻呼吸20の効果!
1、疲労回復効果!
鼻呼吸による「血中酸素量の増加」「免疫機能の維持と向上」「体温低下の防止」「血流の向上」などの機能で、疲労回復効果が高まります。参考:疲れが取れない人の回復力5倍!「口呼吸改善法」
2、免疫アップ効果!
免疫機能の維持向上は、ケガの早期治癒につながります。またコンディションの維持調整にも関わります。
3、集中力アップ効果!
集中力とは脳機能の一部です。メンタル機能にも関わり、精神的な安定にもつながります。血中酸素量の増加、免疫の向上、脳への血流量の増加が影響します。関連記事:集中力をアップさせる口呼吸改善法!」
4、動体視力が活性化する効果!
動体視力は眼球まわりの血流と筋肉の柔軟性、脳神経細胞の活性化が影響します。脳への血中酸素量と血流量が大きく関わる「鼻呼吸」は、動体視力の活性化につながります。
5、体幹強化の効果!
鼻呼吸は横隔膜と連動しており、口呼吸と比べて大きく動きます。横隔膜を動かす筋肉は、体幹の中心的は筋肉です。呼吸をするだけで横隔膜筋とその周辺筋が鍛えられ、体幹力の強化につながります。
6、姿勢の改善効果!
鼻呼吸は「横隔膜筋」や「腹筋」を連動させます。その結果ねこ背などの姿勢が改善され、内臓圧迫による内臓機能の低下を防ぐことができます。また気道の確保もでき、さらに血流の向上にもつながります。
7、脂肪代謝力のアップ効果!
脂質代謝量は細胞への酸素供給量に比例します。脂質の代謝機能は、持久力、疲労回復、ダイエット(肥満防止と解消)と直結します。また細胞内の酸素が少ないと、乳酸が大量に発生しアシドーシス(酸化)を招き、運動機能の急激な低下、疲労の蓄積につながります。
8、瞬発力の向上効果!
瞬発力はクレアチン回路や糖代謝による無酸素エネルギーを活用します。しかしそれは数秒間で、すぐに有酸素によるクエン酸回路が機能します。連続的な瞬発力を高めるには、普段からの鼻呼吸が大切です。
9、ケガの治りが早くなる効果!
血中酸素濃度や免疫力は、ケガの治りに直結します。それらを高める鼻呼吸は、アミノ酸やコラーゲン、ビタミンやミネラルなどの治癒物質を活性化させ、ケガの治癒期間を短縮します。
10、代謝力のアップ効果!
タンパク質合成やエネルギー代謝を高めるためには、酸素と栄養素(アミノ酸、ビタミン、ミネラルなど)が必須です。血流をアップし、酸素供給量を高まる鼻呼吸は、結果的に代謝を高めことになります。
11、慢性的な鼻づまり解消効果!
鼻詰まりは、運動機能や集中力の欠如につながります。鼻呼吸ではメンテナンス機能によって、鼻の軌道を確保するシステムが備わっています。関連記事:奇跡は一晩で起きた!慢性的な鼻づまりの原因の解消法!
12、風邪の予防と治癒力の促進効果!
免疫力維持・向上機能によって、風邪などの病気になりにくく、罹っても早期治癒力が高まります。関連記事:風邪をひきやすい人が3日で変わる免疫力アップ呼吸法!
13、熟睡・安眠効果!
不眠や睡眠障害の代表原因が「いびき」や「無呼吸症候群」です。これらの原因の共通点は「口呼吸」です。鼻呼吸に変えるだけで、それらが改善した例はたくさん報告されています。また血中酸素濃度が上がることで、脳機能の改善が促進され、精神的なケアが高まります。
14、無呼吸症候群、いびき、歯ぎしり、ドライマウスが治る効果!
「口呼吸」の代表的症状が「無呼吸症候群」「いびき」「歯ぎしり」「ドライマウス」の4点セットです。鼻呼吸でそれらが改善することは、安眠効果、疲労回復効果、メンタル強化効果、脳機能の向上、運動機能向上につながります。
15、耳鳴りや飛蚊症が治る効果!
耳鳴りや飛蚊症は、脳神経機能の低下や誤作動が原因です。脳への血流量と酸素量を増やすことで、それらの症状の改善が期待できます。
16、脳機能の向上効果!
アスリートにとって脳機能は、勝敗に関わる大きな機能です。脳機能である判断力、認知力、記憶力、集中力の改善は、脳へ栄養をと酸素を運ぶ血流量、酸素をより多く届ける血中酸素濃度の向上が重要です。
17、肝臓機能がアップ効果!
呼吸法は肝臓をはじめ内臓機能に大きく関わります。鼻呼吸による横隔膜筋の上下運動によって、他の内臓筋も鍛えられ、内臓細胞を活性化します。また血中酸素濃度が高まることで、細胞自体も活性します。
18、癌や脳梗塞のリスク低下効果!
癌や血液が関わる脳梗塞都も大きく関わります。癌の増殖する環境として「低酸素」「低体温」「高糖質」があります。鼻呼吸による血中酸素濃度の増加機能、低体温防止機能、代謝向上機能、免疫力維持向上機能によって、それらの病気の予防ならびに緩和に貢献します。関連記事:動脈硬化を改善する鼻呼吸
19、うつ、不安神経症、認知症の改善効果!
うつや不安神経症は、脳機能の問題でもあります。また認知症も脳の酸素不足で、急激に進行します。脳の血中酸素量を増やし、脳機能を活性化することは、それらの改善につながると期待されます。
20、その他の効果
上記以外でも7つの機能や様々な効果は、複雑に絡み合い相乗効果を発揮します。すべての心身機能に好影響(正常化)を与えます。逆説的にいえば、口呼吸によって多くの損をしているとも言えます。
鼻呼吸の改善法
鼻呼吸の効果は簡単に得ることができます。しかもお金をかけず、短期間で、多くの効果を得ることができます。3日ほどで鼻呼吸を習慣化できます。早い人では1日で改善する人もいます。
鼻呼吸の改善は「口呼吸を鼻呼吸に改善!誰でもできる3つの方法とは?」でご紹介しています。
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「アスリートの鼻呼吸7つの機能と効果!持久力・瞬発力・代謝・集中力・判断力アップ」に対する6件のコメント