シニアサッカーの健康効果!骨密度・骨粗鬆症・糖尿病が改善

シニアサッカー

 

近年、シニアスポーツが注目されています。中でもシニアサッカーの健康効果は高く評価され、骨密度や糖尿病の改善効果が発表されています。またサッカーは生活習慣病の予防に役立つことが分かっています。

南デンマーク大学とフェロー諸島大学の共同研究チームが「サッカーには運動や心臓の能力を向上させる効果に加え、骨を丈夫にする効果があり、転倒や骨折のリスクを抑える」という研究結果を発表しました。

ここでは、新たに発表された研究について詳しく記述するとともに、サッカーや骨粗鬆症・糖尿病についての知識も記述します。骨粗鬆症や糖尿病の予防に、サッカーはどれほどの効果をもたらすのでしょうか。

サッカーがもたらす健康効果

サッカーの健康効果

サッカーは世界中で最も人気のあるスポーツのひとつです。11人対11人で行われるチームスポーツで、より多くのゴールを決めて得点したチームが勝ちます。ボールをパスで繋ぎながら相手ゴールを目指すサッカーは、戦略性が高くエキサイティングなスポーツです。少人数でできるフットサルも盛んに行われています。

筋力強化と代謝促進効果

サッカーでは「走る」「蹴る」といった、足を使う運動が中心です。足には歩行能力に大きな影響を与える大腿四頭筋やハムストリングスなどの大きな筋肉があり、それらの筋力の維持が可能です。

また血管やリンパ管が密集しており、筋肉を使うことで代謝が促進されます。つまり常に足を使っているサッカーは、健康を保つための代謝活動を活発にする効果があるのです。

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心肺機能の向上と脂肪燃焼効果

サッカーの中で行われるランニングには、心肺機能の向上や脂肪燃焼効果が期待されます。心肺機能の向上は、血管の柔軟性や弾力性を高いレベルと維持することにつながります。また脂肪燃焼効果により、メタボリック症候群の改善や中性脂肪値や悪玉コレステロール値を整えてくれます。

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精神的な安定と脳機能

サッカーは多くの人数で協調してプレーするため、グループ活動として楽しめる一面も持っています。目的を持った協調行動は、健康を促進する効果があると言われています。シニアサッカーは、娯楽レベルでも充分な健康効果が見込め、仲間同士で行うことで継続性が高いともいえます。

またサッカーは周囲360度を意識しなくてはならず、縦の距離感や横動作を捉える動体視力が発達します。動体視力は視機能とともに脳機能でもあり、それらの機能維持に役立ちます。

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シニアサッカーによる骨粗鬆症・糖尿病改善

骨粗鬆症とはどんな病気か

骨密度が低下する病気

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは、骨密度が低下して骨がスカスカでもろくなり、骨強度が低下する病気です。骨粗鬆症になると、手や肘をついた際や、くしゃみをした拍子に骨折しやすくなります。

骨粗鬆症は高齢者に多く、女性の方が発症率は高いです。直接命に直接かかわる病気ではありませんが、介護が必要となるケースも多く注意が必要です。特に背骨や大腿骨を骨折すると、歩行が困難になるため要介護状態となってしまいます。また近年、小中学生の骨密度が低下していることが気になります。

参考:骨密度を改善するコラーゲンと骨の関係

骨密度低下の原因

骨密度の低下は50歳前後から加速します。これは老化や女性ホルモンの分泌量減少、骨の新陳代謝バランスの崩れなどが理由です。また無理なダイエットや運動不足も、骨密度に悪影響を及ぼします。

骨をつくる骨芽細胞は、負荷がかかるほど活発になります。そのため、運動は骨を強くするために大切です。何歳になっても丈夫な骨を手に入れるには、日常的に運動を続けることが重要です。

糖尿病とはどんな病気か

糖尿病とは

国内には糖尿病ならびに糖尿病予備軍が2000万人いるとされています。国民病といわれる糖尿病は、インスリンの分泌異常により血糖値が増える病気のことです。

インスリンはすい臓から分泌され、摂取したブドウ糖を細胞内に吸収する働きをします。しかしインスリンの分泌量や働きが低下すると、ブドウ糖が血液中に溢れた状態となり、血糖値が高い状態が続きます。

糖尿病の原因と合併症

血糖値が慢性的に高まると、さまざまな合併症が起こります。手足の神経に痛みや痺れなどを発症する「糖尿病神経障害」、目の網膜血管をむしばみ失明に至らせる「糖尿病網膜症」、腎機能を低下させ透析治療を要する「糖尿病腎症」が主な合併症です。また心臓病や脳卒中を引き起こす動脈硬化の原因でもあります。

糖尿病には1型と2型がありますが、生活習慣病として知られているのは2型糖尿病です。遺伝による体質や高脂肪・高カロリー食、運動不足が主な糖尿病の要因です。

糖尿病の治療や予防には運動が効果的です。運動することで、血液中のブドウ糖は消費され血糖値が下がります。また肥満が解消されれば、筋肉によるインスリンの働きが高まります。

16週間で骨密度が上昇

研究の内容

南デンマーク大学とフェロー諸島大学の共同で行われた研究では、55~70歳の男女各25人ずつが参加しました。参加者は運動経験がなく体力が低下していて、4分の3は骨粗鬆症予備軍と判定され、糖尿病予備軍や肥満もいました。

研究の開始前に骨密度測定を行ったところ、参加者の73%が大腿骨減少症と判定され、24%は大腿骨の骨粗鬆症でした。どの参加者も運動の開始に注意が必要とされましたが、指導者の適切なアドバイスを得ながら16週間のサッカー運動を続けました。食事療法と併用しながら、1回30~60分のトレーニングを週2回行うものでした。

研究の結果

このサッカーのトレーニングにより、参加者たちの全てのパラメータは改善しました。骨ミネラル含量は大腿骨頸部で3.2%、大腿骨軸で2.5%とそれぞれ向上し、骨ミネラル含量が32g増加しました。骨芽細胞で作られるエクソソーム(メッセージ物質)であり、骨の形成と密接なかかわりを持つオステオカルシンは、血中含有量が23%増加していました。

サッカーは骨の形成と骨髄の働きに効果的な運動であることが、この研究結果により証明されました。特に骨粗鬆症や糖尿病予備軍の人にとって重要な、足や大腿部に高い効果がもたらされることがわかりました。

参照:サッカーで糖尿病を予防 サッカーは骨を丈夫にできる最適な運動

シニアサッカーの魅力談

スウェーデン ヨーテボリ大学

激しいプレーの見られるサッカーは、体力や身体能力の低下したシニアや、また骨が弱い人には不向きというイメージがあります。しかし、この研究結果はそのイメージを覆すものでした。「コンディションの整った屋内のフィールドで行うと、サッカーには優れたトレーニング効果があることが判明しました」と、スウェーデンのヨーテボリ大学栄養・運動科学部のマーニ・モール氏は話します。

研究に参加しサッカー運動を行った参加者は、まず運動の前に入念なウォームアップを行いました。その後ペアを組み、狭いピッチでシュートやパスなどの練習をしました。早く走るような運動ではなく、反復練習をメインとした無理のない運動を続けました。

このようなタイプのサッカー運動は、骨の強度が低下している人や、糖尿病予備軍とされている人々に適しています。参加者は運動経験がありませんでしたが、トレーニングを楽しみながら行いました。骨や関節、また筋肉に重度の怪我が発生することもありませんでした。

「今回の研究は16週間に及びましたが、参加者の離脱率は非常に低いものでした。参加者同士で互いに良好な関係を築き、集団で楽しみながらサッカーによるフィットネスを続けていました」と、モール氏は語っています。

南デンマーク大学  クラストラップ教授

生活習慣病の治療や予防に最適

「一般的にサッカーは激しいスポーツだと思われていますが、工夫すれば適度なインターバル運動になるものです」と、南デンマーク大学スポーツ・健康科学部のピーター・クラストラップ教授は話します。彼はさらに「サッカーとは、強度や耐久性のインターバルトレーニングを組み合わせた多目的スポーツであり、2型糖尿病をはじめとした生活習慣病の予防や治療に適しています」と述べています。

運動を継続するにあたって重要なことは、運動を安全に行うことだけではありません。運動をポジティブに捉え、続けていくための動機付けが必要です。運動に取り組むための動機が弱いと、途中でやめてしまい続けられなくなるからです。

研究が行われたフェロー諸島は、サッカーが盛んなヨーロッパにあります。老若男女を問わず人気のあるスポーツとして馴染み深かったため、参加者は前向きに取り組めていました。またこの研究は運動経験のない人に参加を限定し、体力差が少ない均質な環境下で行えたことも良い結果につながったと言えます。

「本研究の参加者の多くは、サッカーを続けることにより満足度が高まったことが示されました。運動すること自体が動機になるのは強みです。楽しく運動できる環境ならば、運動は長続きするでしょう」と、クラストラップ教授は語っています。

シニアに向いているサッカー

骨粗鬆症や2型糖尿病のリスクが高い50~70代の高齢者が、運動にサッカーを取り入れるというアイディアは新しいものです。しかし今回の研究で、負荷をかけすぎずきちんと管理された環境下では、サッカーはシニアでも安全かつ効果的に行えるスポーツであると示されました。

モール氏は「サッカーを始めるにあたり、歳をとりすぎているということはありません。ただし、過度の運動は却って身体的な障害を高めるおそれがあります。無理をしないことが大切です。」と話します。さらにモール氏は「サッカーは会話ができる程度のペースで、社会的な交流を高めながら行うのが効果的です」とアドバイスしています。

このようにサッカー運動をすることで、心肺機能や筋力が向上が期待できます。すると階段の上り下りや自転車に乗ること、買い物やガーデニングなどの日常動作もスムーズに行えるようになります。身体機能が向上することで生活の質も改善され、要介護のリスクも低下すると考えられています。

高齢だから運動はできないと考えて、体を動かさずにいると体力はますます衰えてしまいます。しかし無理なく取り組める運動を続けることで、体力がつき体も丈夫になります。仲間と楽しく会話をしながら、健康な体を手に入れることができるサッカーは、高齢者にも勧められるスポーツなのです。

まとめ

今回の16週間にわたる研究は、シニアサッカーが骨を丈夫にする効果があることを証明しました。サッカーは日本でもポピュラーなスポーツであり、どんなレベルの人でも取り組める環境が整っています。骨折リスクを抱えるシニアにも適切なスポーツとして、ますます盛んになる未来が予想されます。

サッカーにはドリブルやターン、パスやシュート、ダッシュや急停止といった多様な動作があります。このような多様な動作が体に適度な負荷をかけ、その刺激で骨が強くなるのです。適度な運動の範囲内で行うことで、サッカーの健康効果は非常に高いものになると言えるでしょう。

骨粗鬆症や糖尿病のリスクがある人にこそ、積極的に勧めたいスポーツがシニアサッカーです。病気の予防を目指しながら、楽しくサッカーをして身体能力を向上させたいものです。そして健康な体を手に入れて、何歳になっても自分らしい生活を送れるのが理想的ではないでしょうか。

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