筋肉損傷を早期回復するHMBとファイバープロテイン!その効果とは?

筋肉損傷

 

「筋肉損傷を軽減する!」「筋肉損傷の回復を早める!」はアスリートにとって重要なテーマです。

筋肉損傷の症状や重症度は様々です。軽度の「筋肉痛」から筋断裂の「肉離れ」まであり、完全復帰まで数日から数年かかることもあります。スポーツ選手にとっては絶対に避けたい怪我のひとつ!それらを軽減し早期回復するために、プロ選手や日本代表選手の間で2つの成分が注目されています。

筋肉損傷の種類と原因!

筋肉損傷とは?

筋肉の損傷といっても、筋肉痛、筋挫傷、筋挫創、肉離れ、筋断裂、筋損傷、筋膜損傷など、様々な名称や症状があり、さらに筋肉の種類でも分類されます。しかし共通するのは、筋肉細胞または筋膜の損傷というスポーツ障害であることです。ここでは、それらを代表して「筋肉損傷」と言います。

筋肉損傷の原因

筋肉損傷は、外からの衝撃、高い運動強度の継続、腱や筋肉を無理に伸ばすことで起こります。それは筋肉の柔軟性や状態によっても発生率が変わってきます。いわゆる「筋肉の質」によっても変化するということです。ご紹介する2つの成分は、この質にも大きく影響しています。

筋肉損傷を早期回復する2つの成分

2つの成分とは「HMBカルシウム」と「ファイバープロテイン」です。HMBは、筋力強化力や筋肉のつくスピードに、昨今注目が集まっている成分です。またファイバープロテインは、筋肉を包む筋膜の素材として注目されています。どちらも筋肉損傷を軽減させ、回復力を高める点では、優れた成分といえます。それらの機能性は異なりますが、同時に使うことで高い相乗効果が期待されます。

HMBで筋肉損傷の軽減とリカバリー

HMB摂取による筋損傷の違い

いくつかの試験で、HMBの摂取によって筋肉損傷を抑えられたことが示されました。

1日3gのHMBを4週間摂取した後、集中的なウェイトリフティングによる筋肉損傷を防いだことが示された。また20km走直後および数日後の筋肉の損傷を減らしたことも確認された。

ランニング後の筋損傷

HMBの筋肉分解を最小化する作用に加え、ストレス下において細胞膜の安定化に必要なコレステロールの前駆体を筋肉細胞に供給することでも、最小化された。また筋肉細胞の合成促進作用が、回復を早めたことも影響している。

それにより、筋肉損傷が抑えられ、回復期間が短縮することが示された。より強度の高いトレーニングが可能になり、運動機能の向上にも大きな期待が寄せらる。

ファイバープロテインで筋膜損傷に対応

コラーゲン摂取による治療期間

ファイバープロテインは、らせん状の繊維タンパク質で、柔軟性や弾力性が高い筋肉、筋膜、靭帯、腱、骨、軟骨、血管に多く存在します。

ファイバープロテインは種類が多く、存在する部位により、分子構造や名称が変わります。代表的なものは、骨や筋膜、血管に多く存在するⅠ型コラーゲン、軟骨に多いⅡ型コラーゲン、じん帯に多いエラスチンなどがあります。

損傷しやすい部分は、ファイバープロテインが多いため、その存在が重要視されています。また通常のタンパク質とはアミノ酸構造が異なるため、ファイバープロテインの合成を増やすには、コラーゲン類の摂取が有効的とされています。

有効摂取量と摂取方法

HMBカルシウム:1.5~3g

HMB摂取量

厚生労働省は、高齢者の筋力低下の対策として、HMBの有効性を示しています。その根拠になった試験では、1日1.5gを3回に分け、各食後に摂取するというものでした。この量は、通常の筋力維持における摂取量であり、筋肉損傷などで大量に必要なときは、1日3gはとりたいところです。1日6g以上とっても、あまり大きな変化がないという報告もあります。

HMB摂取方法

  • 1日3回に分ける
  • 1回1gがもっとも吸収率が高い
  • 毎食後に摂取するのがいい
  • 激しい運動をする場合は、運動前の摂取も有効

*筋肉損傷時の摂取量は「筋力低下をストップ!運動しない筋トレ法!」も参考になります。

ファイバープロテイン:3~5g

適切な摂取量

コラーゲンの世代別合成量

健常人の通常の必要量は5gとされています。通常は食事でも摂取しているので、サプリメントでの補給は2~3gで充分です。

しかし筋肉損傷や筋膜損傷、じん帯や血管などを損傷している場合は、5~8gのファイバープロテインの摂取をおすすめしています。

適切な摂取方法

  • 通常は食後、または就寝2~3時間前
  • 運動時はその前後

成長ホルモンを活用

就寝前半には、もっとも多くの成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンは筋肉損傷や血管や靭帯などの補修を促すため、その時の原料とするイメージで就寝前2~3時間とさせていただきました。就寝直前は活性が上がるため、睡眠の障害になる恐れもあります。

管理栄養士 監修コメント

記事にあるように、スポーツ後に起こる筋肉の炎症にはいろいろあります。炎症が起きているときには、必要な栄養素をきちんと摂取することが大切です。

例えば激しいスポーツをした後には、グルタミンが不足しがちになることが指摘されています。またアルギニンは、筋肉の損傷の修復や筋肉の増強には欠かせない成長ホルモンの分泌に深く関わっている可能性が報告されています。

その他に筋肉の損傷の回復を助けてくれると考えられている栄養素は、オメガ3系脂肪酸(EPA、DHA、γ–リノレン酸)、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンB6、ビタミンC、亜鉛、セレンです。

脂肪酸の中でも、オメガ3系脂肪酸(魚油、亜麻仁油」には「抗炎症作用」があります。反対にトランス脂肪酸(ファットスプレッド、ショートニング)、パルミチン酸(パーム油、ショートニング)、ステアリン酸(牛脂、ラード、バター)などの脂肪を多く含む食品は、炎症反応を促進するとも報告されています。

これらのことから、体の炎症と回復にとって摂取する栄養素の質はとても重要だということが考えられます。ぜひ、質の良い栄養素を摂取することを心がけてください。

管理栄養士 山本亜由美 監修

<筋肉損傷に関する参考文献>HMB(ビス-3-ヒドロキシ-3-メチルブチレートモノハイドレート)のスポーツニュートリションとしての利用とその効果:ラフル・イエガー博士、マーティン・プープラ博士、井上俊忠/Creatine and β-hydroxy-β-methlbutyrate(HMB)additively increase lean body mass and muscle strength during a weight training program.Nutr17:558-566(2001):E.Joko,p.Ostaszewski, M.Jank,J.Sacharuk, A.Zieniewicz, S.Nissan/Effects of β-hydroxy-β-methlbutyrate(HMB)on muscle damage after a prolonged rum. J. Appl. Physiol. 89 1340-1344(2000):A. Knitter, L. Panton, J.A. Rathmacher, A. Peterson, R. Shap/

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