コラーゲンの完全ガイド!身体年齢とコラーゲンの働きや種類

スムーズ&パワフル

 

コラーゲンは美容だけではありません!身体年齢の若さを支える成分でもあります。コラーゲンは皮膚組織だけではなく、骨、軟骨、筋膜、血管、じん帯、腱、内臓にも多く存在し柔軟性と弾力性を与えています。スムーズでパワフルな動きは、コラーゲンの働きによる機能です。

身体年齢とコラーゲン

身体年齢とは、基礎代謝、体脂肪率、骨格筋率、柔軟性、細胞のハリなどの総合的な評価で、肉体的な若さを示します。この身体年齢に大きな影響を与えるのが、コラーゲンの代謝量です。コラーゲンは繊維状タンパク質(ファイバープロテイン)の一種で、各器官の柔軟性と弾力性をつくる働きをしています。

コラーゲン構造の特徴

コラーゲンの体内分布

コラーゲンは体全体のタンパク質量の3分の1を占め、骨の30%・軟骨の50%・腱の85%・真皮層の70%・血管内壁の90%・内臓などに多く存在しています。運動そのものである筋肉の伸び縮み、関節の曲げ伸ばしをサポートし、身体年齢を決定する要素になります。

コラーゲンのプロフィール

  • 属性:タンパク質(主にファイバープロテインの一種で特殊な構造体をもつ
  • 存在:骨・軟骨・皮膚・血管・腱・じん帯・筋肉(筋膜)・内臓・細胞間など
  • 構造:細長い繊維状で三重らせん構造(Ⅰ型)。非繊維系もある
  • 種類:構造と働きの違いで約30種類に分けられる
  • 表記:Ⅰ型・Ⅱ型・Ⅲ型・・・・・・・・・(約30種類)
  • 役割:柔軟性と弾力性、細胞間の接着剤、細胞への栄養運搬と老廃物排出など
  • 特徴:劣化(老化)すると、硬く脆くなり、柔軟性や弾力性が失われる

コラーゲン特有のアミノ酸

タンパク質はアミノ酸の集合体です。構造や働きの違いによりアミノ酸の組合せ(組成)が異なります。さらにコラーゲン組成をするアミノ酸は、特殊なアミノ酸が含まれます。コラーゲン分解アミノ酸が、体内でコラーゲン合成しやすい根拠になっています。

コラーゲンをつくるアミノ酸 グリシン30%、プロリン&ヒドロキシプロリン21%、アラニン11%、リジン&ヒドロキシリジンなど(Ⅰ型の場合)

コラーゲンは他のタンパク質にはないアミノ酸「ヒドロキシプロリン」と「ヒドロキシリジン」をもっています。アミノ酸プロリンやリジンがヒドロキシ化するときに、補酵素であるビタミンCと補因子である鉄が必要になります。ビタミンCやミネラルが不足すると、コラーゲンの合成量が低下するのはそのためです。

強さの秘密「三重らせん構造」

三重らせん

  1. グリシンを中心にアミノ酸が一列に結合した線維
  2. 3本が左巻きのらせん状の束になる
  3. 3束が右巻きの緩やかならせん状のコラーゲンになる

コラーゲンの種類によって、らせん構造が違います。らせん構造になることで、強靭で柔軟性のある繊維になります。

コラーゲンができる3ステップ

体内でのコラーゲン合成には3つの工程があります。

  1. 繊維芽細胞内でコラーゲンの芽が出る。(コラーゲン前駆体)
  2. それが細胞外へ分泌され、特殊酵素により繊維ができる。(可溶性コラーゲン)
  3. その繊維が集まり、連結(架橋)し強度を上げ、コラーゲンができ上がる。

*「繊維芽細胞」とは、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸といった繊維タンパク質(ファイバープロテイン)を作り出す細胞のことです。繊維芽細胞は全身に散在していて、組織が損傷(創傷や骨折など)を受けると、近くの繊維芽細胞が集まってきて、コラーゲンを大量に作り出し、治癒を早めることが分かっています。コラーゲンを元気にするには、繊維芽細胞の数と活性化が重要です。

コラーゲン代謝の特徴

コラーゲンの治癒力

コラーゲンの代謝サイクルは長く、6~9ヶ月で細胞が入れ替わります。しかし細胞分裂そのものは早く、短時間で大量のコラーゲンを作り出すことができます。その特徴により、骨折や肉離れなどのケガをしたときには、素早く修復してくれます。

マウスを使った実験では、コラーゲンを投与し合成を活性化したことで、ケガの治癒が30%ほど早まったと報告されています。

コラーゲンの働き

コラーゲン3つの働き

細胞間物質

コラーゲンの働きは、大きく分けて3つあります。

  1. 「架橋タンパク質」細胞同士につなぎとめる
  2. 「構造タンパク質」骨・軟骨・筋膜・血管などをつくる
  3. 「細胞間物質」細胞に栄養や酸素の供給、老廃物を排出

架橋タンパク質は、細胞がバラバラにならないように、細胞同士をつなぎとめています。レンガの塀に例えると、細胞がレンガで細胞間のコンクリートがコラーゲンということになります。

構造タンパク質は、骨や軟骨などの器官を構成する成分になります。繊維状のタンパク質の性質により、各器官の柔軟性や弾力性を司っています。

細胞間物質は、細胞の間を埋め尽くし、毛細血管からの酸素や栄養を細胞に届けたり、細胞内に溜まった老廃物を毛細血管に届けたりする働きをしています。

各器官での働き

 各部位  構成率  働き(%は水分の除いた割合)
 骨とコラーゲン  約30% 水分を除く骨重量の30%がⅠ型コラーゲで、カルシウムとリンを除けば90%になります。骨内での柱の役割があり、カルシウム定着させる働きをしています。
 軟骨とコラーゲン  約50% コンドロイチンなどのムコ多糖体をとどめる軟骨の構造体をつくっています。軟骨はⅡ型コラーゲンが主成分です。
 筋膜とコラーゲン  約90% 筋肉を包む筋膜は、コラーゲン線維でできています。それにより筋肉の伸縮にあわせた柔軟性と弾力性を発揮しています。
 靭帯・腱とコラーゲン  約85% 絶対切れてはいけない靭帯や腱は、コラーゲン繊維が何重にも束になりワイヤーのような働きをしています。
 血管とコラーゲン  約90% 血管は急激な血流量の増減に対応するために、膨張収縮する柔軟性が求められます。血管内壁90%を占めるコラーゲンが得意とする働きです。 
 肌とコラーゲン  約70% 皮膚の真皮層の70%はⅠ型コラーゲンです。このコラーゲン量の減少が、シワやたるみの原因になります。コラーゲンは肌の弾力性、柔軟性、ハリをつくる働きをしています。
 関節とコラーゲン  - 関節は靭帯(85%)と軟骨(50%)からできていて、コラーゲンそのものといえます。
 内臓とコラーゲン  - 内臓の弾力性や腎臓のネット状のフィルターを構成しています。
 細胞とコラーゲン  - 細胞同士をつなぐ架橋の役割。細胞間物質として細胞に栄養や酸素の供給や細胞の老廃物を排出する働きをしています。

コラーゲンの種類による働き

コラーゲンは約20種類に分類される。(Ⅰ型・Ⅱ型・Ⅲ型・・・・・)

型  領域  構造  特徴 
 Ⅰ 真皮や骨・腱  繊維螺旋状  もっとも多く存在するコラーゲンです
 Ⅱ 軟骨  繊維螺旋状  軟骨に多く存在し、軟骨の構造体をつくる
 Ⅲ 真皮や血管  繊維螺旋状 若返り物質で様々な細胞で活躍。胎児は特に多い。
 Ⅳ 基底膜腎臓  繊維網目構造  腎臓で尿素などをろ過するフィルターの役目
 Ⅴ 真皮  繊維螺旋状+  繊維の太さを調整。これが多いと木目が細かい
 Ⅵ 筋肉や皮膚  非繊維数珠状 筋細胞同士をつなぎとめる
 Ⅶ 皮膚  非繊維状  表皮と真皮を結合する
 Ⅷ 血管内皮  繊維短鎖状  血管の膨張と収縮をサポート
軟骨 非繊維状  ファシットとしてⅡ型表面に付着
軟骨 繊維短鎖状  肥大軟骨層
ほか 血管基底膜や皮膚など様々なところに微量存在する
類似 コラーゲンの特徴を部分的に備えた非コラーゲンタンパク質が15種類ほど発見されている

 身体年齢があがるコラーゲンの老化

コラーゲンの老化とは?

ロープ2

コラーゲンは老化しやすいタンパク質です。コラーゲンの老化は「老化架橋」といわれ、硬く脆くなる性質があります。老化することで、各器官は柔軟性や弾力性を失い、細胞への栄養や酸素の供給が低下し、老廃物が細胞内に溜まります。

その結果、筋肉や関節は硬くなり運動能力は低下します。また細胞は不活発化して身体年齢が上がり、靭帯や腱などのケガをしやすい身体になります。

コラーゲンが老化する原因

コラーゲンの産生量の推移-1

コラーゲンの減少は、さまざまな原因で起こります。もっとも大きい原因は「加齢」によるコラーゲン産生量の減少です。そのほか下記のストレスによっても、コラーゲンは老化(劣化)し硬くモロくなります。

  • 化学的ストレス・・・タバコ、排気ガス、食品添加物、薬剤など
  • 物理学的ストレス・・紫外線、放射能、熱、湿度、活性酸素など
  • 精神的ストレス・・・メンタル、過度なプレッシャーなど

コラーゲンの代謝を高める!

コラーゲンの老化や減少は、コラーゲンを摂取することでカバーできます。

コラーゲンを増やす!

コラーゲンの増殖実験

繊維芽細胞

東京農工大学の白井邦郎名誉教授の実験によれば、コラーゲンを作り出す線維芽細胞を培養する際に、胃腸で消化された状態のコラーゲンペプチドを与えることで、繊維芽細胞が活性化して、大量に作り出すことが確認できたといいます。コラーゲンの代謝を高めることで、各器官へのコラーゲンの量と質を高めることが期待されます。

 コラーゲンを摂取する

コラーゲン合成比較

コラーゲンの原料として一般食から摂取するのが理想ですが、脂質の過剰摂取などの問題もあります。加齢による合成力の低下、ケガなどでの大量消費を賄うには、コラーゲンまたはその分解物であるコラーゲンペプチドを摂取するのが効果的です。

またコラーゲン合成にはビタミンC鉄分が必要です。サプリメントだけに頼らずに、バランスのとれた食事を心がけましょう。

コラーゲンを多く含む食品

サプリメントに使われるコラーゲン原料は、大きく分けて陸上動物系と海洋生物系に分けられます。植物系コラーゲンといっているものもありますが、アミノ酸組成的にはコラーゲンとは言えないかもしれません。

陸上動物系の主な原料は、牛・豚・鶏ですが、現在はBSEの問題があり牛は使用おらず、豚由来が主流原料です。一方海洋生物系は魚が主流で、ウロコ、皮、ミンチなどから抽出されます。動物系と海洋性の違いは、細胞の組成温度(溶解温度)です。動物系は40~43度ほどで細胞が作られ、海洋性は16度前後です。

一般食品でコラーゲンを多く含むものは、チキンスープ(骨まるごと) 魚の煮凝りや煮つけ 動物の骨付き肉 牛スジ 鮭(皮付き) 豚足 鶏皮鶏軟骨 ふかひれ うなぎ 魚のウロコなどです。

コラーゲンを食品からとる注意点

1. 消化吸収に時間がかかる

タンパク質の消化吸収時間は3~6時間といわれます。またタンパク質の消化には、多くの酵素反応が必要とされるため、多くのエネルギーを消耗します。

2. 脂質の摂取量が増える

コラーゲンを多く含む食品の特徴は、脂質を多く含む点にあります。脂質はタンパク質と比べて溶解・消化が早いので、結果的に多くの脂肪を摂取することになります。

3. 安定的な摂取が難しい

上記2つの理由から、食品から毎日安定的に摂取するのは難しいと思われます。その対策として、コラーゲンをサプリメントで摂取する方法があります。多くのコラーゲンサプリメントは脂質を含んでいなく、ペプチド状態になっているので吸収が早く効率的です。

コラーゲン代謝が高まることでの期待

 骨を丈夫にしたい  折れやすい、骨折、骨軟化症、骨粗鬆症など
 軟骨の弾力を高めたい  関節痛、変形性ひざ関節症など
 強靭な靭帯にしたい  靭帯損傷、靭帯断裂、腱断裂など
 血管年齢を若くしたい  息切れ、心拍数上昇、動脈硬化、高血圧など
 筋肉を増強したい  筋肉増加、筋肉疲労の早期回復、筋断裂など
 しわ、たるみを改善したい  しわ、たるみ、くすみ、カサカサ肌など
 代謝を上げたい  代謝不良、加齢臭、疲労感の解消など

 コラーゲン・ガイドのまとめ

コラーゲンの特徴と働き

  1. コラーゲンは繊維状のタンパク質(一部非繊維状)
  2. コラーゲンは身体年齢に大きく影響する
  3. 歩く・走る・飛ぶ・投げるなどの運動機能を高める
  4. ケガや故障の予防、修復に大きく影響する
  5. 加齢やストレスでコラーゲンが老化し、運動機能が低下する
  6. コラーゲンを摂取することで、コラーゲン合成が高まる

管理栄養士 山本亜由美 監修

コラーゲンの劣化原因の1つに「糖化」があります。「糖化」は身体のコゲ(焦げ)とも呼ばれ、「肌が黄色くくすむ」「肌がたるむ」「骨が脆くなる」「関節が硬くなる」など、多くの老化現象につながります。

糖化を防ぐには、糖質に偏らない食生活、「抗酸化作用食」や「抗糖化作用食」の摂取、適度な運動などが推奨されています。

コラーゲンを健康に保つことは、身体だけでなく、見た目の老化を防ぐことにも繋がります。コラーゲンの生成をサポートするビタミンCや鉄、またその働きをサポートするその他のビタミン、ミネラルもバランス良く摂取することを意識してみてください。

参考文献
コラーゲン料理健康法 同文書院 著者:高橋周七薬学博士/細胞の大黒柱コラーゲン ハート出版 著者:藤本大三郎理学博士/コラーゲンと美容・健康を語る 樹芸書房 著者:白井邦郎農学博士/コラーゲン物語 東京化学同人 著者:藤本大三郎理学博士/コラーゲン完全バイブル 幻冬舎 著者:真野博農芸化学博士/若返り13の法則 万葉舎 著者:石井光医学博士/血管が若返れば健康寿命はのびる 幻冬舎 石井光医学博士/老けない身体は骨で決まる 青春出版社 著者:山田豊文予防医学研究者/リウマチ・関節の痛みでもう苦しまない 夏目書房 著者:高橋周七薬学博士/コラーゲンの話 中公新書 著者:大崎茂芳理学博士/ヒザの痛みがとれる本 講談社 著者:黒澤尚順天堂大学特任教授/海洋性コラーゲンを探る 五曜書房 著者:木村茂東京海洋大学名誉教授

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